閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

「親会社の親会社」は関連当事者に該当しない?

今回のテーマは、関連当事者の範囲に親会社の親会社は含まれるのかです。

きっかけは、FACTAの7月号の「SBIが「中間持ち株会社」挟み目隠し」という記事の中で、以下のように記載されていたことよります。

「SBIとSBI証券とのこの取引の間に、中間持ち株会社SBIフィナンシャルサーb-シーズが入ると、SBIから見た場合、SBI証券は孫会社になる。SBI証券からすると親会社の親会社にあたるSBIへの貸し付けは招集通知に記載する必要がなくなるのだ。」

振り返ってみると、今まで孫会社の立場で計算書類等を作成した経験がないので「親会社の親会社」はあまり意識していませんでした。しかし、連結パッケージなどで親会社が情報を収集する場合は、孫会社に対しても同様の情報を集めていたはずなので、孫会社からみた親会社の親会社も記載が不要ということにはならない気がしました。

そこで、確認してみることにしました。

上記では「招集通知」と記載されているので会社法計算書類を前提にしていると考えられますが、関連当事者の範囲は関連当事者の開示に関する会計基準(金商法ベースの開示)でも会社計算規則でも基本的に同じとなっています。

厳密には、会社法計算書類上は関連当事者の注記が個別計算書類でのみ記載対象となっているため、連結財規と比較すると、「重要な子会社の役員およびその近親者」が連結財規では関連当事者の範囲に含まれるという点が差となっています。

この他、開示対象となる取引について、会社計算規則は個別注記表を前提に規定されているため、連結計算書類の作成にあたり相殺消去されている取引も注記の対象となるのに対して、会計基準では連結上相殺消去されている取引は注記の対象とはならないとされています。しかし、一方で会計基準では、連結会社(会社および子会社)と関連当事者との取引が開示対象であるため、連結子会社と関連当事者との取引も記載対象となるという点も会社計算規則の規定と差異が生じています。

関連当事者の範囲について、会社計算規則でも関連当事者の開示に関する会計基準でも親会社、子会社は関連当事者に該当するとされています(関連当事者の開示に関する会計基準5項(3)①~②、会社計算規則112条4項1号~2号)。

では、「親会社」、「子会社」とは何かですが、財規では第8条3項で以下のように定められています。

「親会社」とは、他の会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配している会社等をいい、「子会社」とは、当該他の会社等をいう。親会社及び子会社又は子会社が、他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等も、その親会社の子会社とみなす。

この、読み方がポイントになりそうです。
他の会社を支配している会社が親会社で、支配されている会社が子会社というのは問題なさそうです。そして、親会社と子会社が共同で、あるいは子会社が単独で他の会社等を支配している場合は、支配されている会社は子会社となるとされています。

したがって、いわゆる孫会社は「子会社」に含まれるため関連当事者の範囲の含まれることは明らかですが、親会社の親会社については述べられていないので関連当事者の範囲には含まれないと解釈する人もいるかもしれません。

しかしながら、孫会社が「子会社」とみなされるのであれば、孫会社からみた親会社の親会社は「親会社」と解釈するのが妥当だと考えられます。

また、関連当事者の開示に関する会計基準第5項(3)④において「財務諸表提出会社が他の会社の関連会社である場合における当該他の会社(以下「その他の関係会社」という。)並びに当該その他の関連会社の親会社及び子会社」は関連当事者の範囲に含まれるとされています。

自社が他社の関連会社に該当する場合、その他社の親会社は関連当事者に含まれるとされていることからすれば、より不透明な取引が行われる可能性が高い「親会社の親会社」が関連当事者の範囲に含まれないというのは不合理だと考えらますので、やはり「親会社の親会社」も関連当事者に該当すると考えるのが妥当だと考えられます。

したがって、「親会社の親会社」も関連当事者取引として開示する対象となるといえ、今回のきっかけになった記事では中間持株会社を設立することによって関連当事者の注記対象から外れるというようなことはないのではないかと思います。

日々成長

関連記事

  1. エナリスに対する上場契約違約金2400万円は高い、安い?

  2. 一体開示で表示方法を変更した場合の記載事例

  3. 繰越欠損金の控除限度額の引き下げと税効果

  4. 償却原価法とその他有価証券

  5. 平成26年3月期有価証券報告書の記載事項の変更箇所(その2)

  6. 200%定率法の経過措置と資本的支出の耐用年数




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,947,714 アクセス
ページ上部へ戻る