白色申告であっても現金主義は認められない?
個人の事業所得の申告について、当然のごとく青色申告を選択していたこともあり白色申告について誤解していた点に気づきました。
それは、「白色申告であれば現金主義が認められる」というものです。たまたま別件で調べ物をしていて気づきましたが、所得税法上、白色申告の場合に所得の計算を現金主義で行うことができるという定めはありません。
では何故「白色申告であれば現金主義が認められる」というようなことが言われているのかですが、以下のような理由によるのではないかと推測されます。
第1に、青色申告の場合は現金主義で所得の計算を行うことが認められるケースがあり、この制度と勘違いしている可能性があります。青色申告で現金主義が認められるのは、前々年の不動産所得の金額及び事業所得の金額の合計額が300万円以下の場合です(所得税法67条)。
なお、300万円の判定は、専従者給与の規定を適用しないで計算した場合の合計額で行うものとされています。また、「現金主義による所得計算の特例を受けるための届出書」を適用を受けようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に新たに開業した場合には、開業した日から2月以内)に所轄税務署長に提出する必要があります。
第2に、現時点において白色申告の場合は記帳義務がないケースがあり、記帳義務がないような場合に所得の計算をしようとすれば現金(預金)の動きをベースに所得を計算せざるを得ないという考え方が考えられます。これは、作業的には納得できますが、所得税法上、現金主義が無条件に認められているわけではない以上、期末に売掛金計上すべき収入があれば記帳の有無を問わず収益認識する必要があるので正しくはありません。
白色申告の場合の記帳義務について確認しておくと、現時点においては、前々年および前年の不動産所得の金額及び事業所得の金額の合計額が300万円以下の場合には記帳義務がないものとされていますが、平成26年1月1日以後においては、不動産所得、事業所得及び山林所得を生ずべき業務を行うすべての者について記帳義務・記録保存義務が課せられることになっています(所得税法231条の2、平成23年改正法附則8条)。
そのため将来的には、作業的にも現金主義でしか所得を計算できないという言い訳は通じないということになります。不動産所得、事業所得及び山林所得を生ずべき業務を行うすべての者について記帳義務・記録保存義務が課せられることになると、それでも白色申告を選択するというのは合理的な選択ではありません。皆さん青色申告をしましょうということでしょう。
白色申告であっても現金主義は認められない、と覚えておくことにします。
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