「スターバックスCEOだった私が社員に贈り続けた31の言葉」とは?
今回は「スターバックスCEOだった私が社員に贈り続けた31の言葉」(岩田松雄著)について紹介します。
この著者は、日産自動車に入社後UCLAアンダーソンスクールに留学し、その後日本コカ・コーラの役員やザ・ボディショップの社長をなども務めた方だそうです。スターバックスコーヒージャパンのCEOは4年務めたとのことです。
この本は、筆者がスターバックスのディストリクトマネージャーである「ハタ君」に手紙を送るという形式で書かれています。
「31の言葉」とは以下のようなものです。
1.人生にミッションを持て。志のない経営や人生はむなしい
2.「好き」「得意」「人のためになる」。この3つが重なる分野を探せ
3.社長もアルバイトも、本社も現場も「役割」
4.得意分野がないのなら、「スーパーゼネラリスト」を目指せ
5.「サラリーマンスキル」を身につけているだけでは寂しい
6.いつでも会社を辞められるように、貯金は今からでもしなさい
7.やりたくないことでも、まずはトップをとってみる
8.「社長を目指して働く」と「部長を身座して働く」は働き方が根本から違う
9.部下とは群れるな。ランチは一人でとれ
10.部下は、トイレの中でも上司を見ている
11.一人のお客さまより、一人の従業員のほうが百万倍大切
12.できる人が教えるのではない。教えるからできるようになる
13.人は信じても、人のすることは信じるな
14.常に「自分が創業者だったら」と考えて仕事をする
15.「何をやるか」ではなく「なぜやるのか」を考えてもらう
16.ほめ合う文化をつくれ。そうすればよい決断ができる
17.部下を評価するときは、結果だけでなく過程もほめよ
18.叱るときは、思い切り叱る。でも起怒ってはダメ
19.「イエスマン」にはだまされるな
20.社長からニートになって見えてくるものもある
21.日陰の部署にいても、ベストを尽くせ。いつかそれが役に立つ
22.あなたが失敗しても会社は潰れない。安心しろ
23.「今がダメでもきっと良くなる」と自分を信じろ
24.付加価値が生まれる「火花の散る瞬間」を意識せよ
25.正しい生活習慣は、必ずいい仕事につながらう
26.先入観やネガティブな思い込みは「悪」である。心の自由人であれ
27.二次会は行くな。酒の席でしか言えない本音は意味がない
28.時間管理は「予定」だけでなく「結果」を書く
29.ずる賢いエリートほど手に負えないものはない
30.なりたい人間を演じなさい。あとからそれが自分になる
31.ミッションは常に変化し、成長し続けるもの
いずれも書かれている内容を読むと納得してしまうものですが、個人でには「得意分野がないのなら、「スーパーゼネラリスト」を目指せ」というのが気に入りました。最近はあまり流行らないゼネラリストですが、著者は器用貧乏がコンプレックスだったそうで、結局、専門分野をつくることができなかったと今でも感じているとのことですが、「器用貧乏」が自分らしさならそれを貫くのもいいじゃない、というのには励まされます。個人的に飽きっぽく色んなことが楽しく見えてしまう性格なので、スペシャリスト的な仕事をしつつも、ゼネラリスト的な生き方もいいかな、と思ってしまう今日この頃です。
もう一つ「一人のお客さまより、一人の従業員のほうが百万倍大切」も興味深い内容でした。
ここでは、著者がザ・ボディショップの社長時代に経験したことが書かれています。ザ・ボディショップは、一時はブームに乗って売上を90億円まで伸ばしたものの、筆者が社長に就任した時は60億円くらいまでに落ち込んでいたそうです。それを売上約140億円にまで伸ばす原動力になったのは「従業員の満足度を上げた」ことだったという点が興味深いところです。
具体的に従業員満足をあげるためにどのようなことをやったのかですが、年に2回あまりきれいとは言えない貸会議室で開催されてた店長会議をディズニーランド側の一流ホテルで行うようにしたということが一例として挙げられています。これは、ブランドビジネスはモノを売るというよりはお客様に満足を売るビジネスなので、「一流」の雰囲気を感じてほしかったからとのことです。そして、そのような一流のサービスに触れた経験を店長が店舗に帰って他のスタッフに話すことにより、他のスタッフが店長になりたいと上を目指すようになったそうです。著者は、「社長就任当初、調査会社に満足度調査を依頼したところ」とさらりと書いていますが、従業員満足の重要性は近年よく言われるようになっているとはいえ、「調査会社に満足度調査を依頼」している会社はまだまだ少数派ではないかと思います。
日々成長