IFRSの準備企業-上場会社の約2割を多いとみるか少ないとみるか・・・
経営財務3105号(2013年3月11日)に「アドバイザリー契約から見るIFRS対応(前編)」という記事が掲載されており、興味深い内容だったので紹介します。
この記事では、平成24年3月期の有価証券報告書を提出した2,485社を対象に「コーポレート・ガバナンスの状況等」の中でIFRSに係るアドバイザリー契約等(セミナーの委託なども含む)を監査人と締結している旨を開示した企業を集計した結果がまとめられています。
その結果は、平成24年3月決算会社2,485社のうちアドバイザリー契約を開示したのは444社(17.9%)で、平成23年3月期の537社(21.2%)からは減少しているというものです。
「コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載されるのは、監査を行っている監査人に対する非監査業務の内容であるため、他の監査法人等とアドバイザリー契約を締結している会社は上記の集計に含まれていません。したがって、実態としては、もうすこし高い割合の会社がIFRSのアドバイザリー契約を監査法人等と締結していると考えられます。
したがって、実態としてはどれくらいの会社がIFRSの準備を行っているのかはわかりませんが、上記の結果から推測すると全体の3割位というのがいいところではないかと思います。
ちなみに、経営財務の調査結果によれば、IFRSアドバイザリー契約を開示しているのは東証全体で395社で前期と比較すると70社減少しています。この70社の内訳は、新規に開示した会社127社に対して中止197社となっています。中止が197社というのは強制適用が当面なくなったことから理解できますが、新規が127社もあるというのは正直意外でした。というのは、IFRSを積極的に適用しようとする大手企業は、早期に対応を始めていたと推測されるため、今さら新たにIFRS対応を検討しようとする会社が相当数あるというのが意外でした。
会社規模とIFRSの関係では、「売上高が大きいほど開示する企業の割合が高い」とされています。つまり、売上高が1兆円超では6割近くが、5000億円以上1兆円未満でも5割近くがアドバイザリー契約を開示しているとされています。売上高が100億円以上500億円未満で1割程度、100億円未満となると3%程度に割合が低下するそうです。
売上規模が小さければIFRS対応が強制されない限り、任意適用の必要性を特に感じないということも多いと思うので、この結果は納得がいきます。
IFRSアドバイザリー契約の締結先では、新日本監査法人がトップで143社となっていますが、監査法人トーマツが135社、あずさ監査法人が131社と大手3法人は契約数に大きな差はありません。これに続くのはあらた監査法人の24社ですが、上位3法人と比較すると大きく差がついています。
監査法人等とアドバイザリー契約を締結していても、どこまで本気で任意適用を目指しているかはわかりませんが、アドバイザリー契約を開示している会社の2割位が任意適用にこぎつければ、任意適用100社も見えてくる計算となります。
平成25年3月期の有価証券報告書からも同様の調査が行われると思いますので、その動向に注目です。
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