「調査」と「行政指導」の違いは?
T&A master No501に”当局、「調査」と「行政指導」を明確化も範囲逸脱の懸念”という記事が掲載されていました。
主な内容としては、課税当局内に、行政指導の際、指導の範囲を逸脱し、調査による質問検査権の行使であると誤解される懸念が生じている模様で、納税者側も、調査が行政指導として行われていないか注意しておく必要があるというものです。
調査と行政指導の違いは?
調査とは、特定の納税義務者の課税標準等または税額等を認定する目的で税務職員が行う一連の行為とされています(調査手続通達1-1)。
行政指導とは、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものを意味します。
納税者は調査と行政指導の違いがわかるか?
上記のとおり「調査」か「行政指導」かは調査担当者の内心の意思によることになるので、納税者が外部から知ることができません。しかしながら、調査か行政指導かによって、その後の修正申告時に適用される加算税の適用関係がかわってくるためどちらにあたるかは納税者にとって非常に重要な情報です。
このため、事務運営指針において、納税者に接触する際には調査と行政指導のいずれであるかを明示するとされています。
調査等の事務区分の見直し
国税通則法の改正に伴い、課税特局内部では調査等に係る事務区分の見直しが行われています。関係がありそうな法人税に関しては以下のようになっています。
上記のように、課税当局では行政指導と調査の区分の明確化を図っていますが、事務運営指針に従い行政指導と明示した場合においても、指導の範囲を逸脱することによって調査による質問検査権の行使と誤解を招くケースが生じるとの懸念があるため、行政指導にあたり以下行為に及ばないようにする必要があるとされています。
- 納税者に自発的な見直しを求めることなく、確定的な非違として修正申告を勧奨する。
- 帳簿書類や申告書の内容につき詳細に掘り下げた説明を求めるなど「基礎的情報」という範囲を超えた情報を求める
- 基礎的情報の範囲内の情報であるとしても、執拗に情報の提供を促すなど自発的な意思に基づく協力要請とは言いがたい負担感を納税者に与える
納税者側としても、上記のような行政指導が行われていないかについては注意が必要です。
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