資産の貸付けに関する消費税の経過措置(その1)
今回は資産の貸付けに関する消費税の経過措置についての確認です。資産の貸付けの概要については、”消費税率アップの経過措置とは?(その1)-リース契約”で記載しましたが、税務通信3278号の”消費税率引き上げに関する経過措置の総チェック<第2回 資産の貸付けに関する経過措置>で取り上げられていた事項を中心に確認します。
1.経過措置対象の確認
経過措置の対象となる資産の貸付けの範囲については、附則5条4項で以下のように定められています。
事業者が、平成8年10月1日から指定日の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、施行日前から施行日以後引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合において、当該契約の内容が、第1号及び第2号又は第1号及び第3号に掲げる要件に該当するときは、施行日以後に行う当該資産の貸付けに係る消費税については、旧消費税法第29条に規定する税率による。ただし、指定日以後に当該資産の貸付けの対価の額の変更が行われた場合には、当該変更後における当該資産の貸付けについてはこの限りではない。
- 当該契約に係る資産の貸付けの期間及び当該期間中の対価の額が定められていること。
- 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
- 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないことその他対価に関する契約の内容が政令で定める要件に該当していること。
2.自動更新契約がある場合の取扱い
自動更新契約がある場合の取扱いについては「平成 26 年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用 される消費税率等に関する経過措置の取扱い Q&A」(平成25年4月 国税庁消費税室 )(以下Q&A)のQ&A37で取り上げられています。
自動継続条項がある場合の取扱いについて、Q&A37では自動継続条項があるとしても、契約における当初の貸付期間のみ施行日以後に行われる貸付けも経過措置の適用対象になるとされています。
これは、「契約期間満了時において取引を継続するか否かの意思表示がなされていると考えれることから、一般的には従来と同じ内容の取引を行うこととする契約を新たに締結したといえる」ためです(税務通信3278号)。
では、「解約する場合は貸付期間満了日の○月前までに申し出ることとされている場合」はどうなるのかですが、この場合は「解約申出期限を経過したときに当事者間の合意、すなわち新たな契約の締結があったものと考えるのが相当」であるため、解約申出期限が指定日前である場合は、契約更新日が指定日後であっても経過措置の対象になるとされています。
この点につきQ&Aでは、以下のように図示されています。
(出典:「平成 26 年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用 される消費税率等に関する経過措置の取扱い Q&A」(平成25年4月 国税庁消費税室 )Q&A37)
3.対価の額の変更を求めることができる旨の範囲
最近では、消費税が予定通り平成26年4月1日以降増税が決定された場合には、追加で消費税を請求する旨が契約に織り込まれているケースが出てきていますが、このようなケースが「対価の額の変更を求めることができる」ということになるのかが問題となります。
この点に関しては、対価の額とは「税抜本体価額を指す」(税務通信3278号)とされています。したがって、消費税率の改正があった場合には適用税率を変更する旨の定めは、経過措置の適用の可否には影響しないということになります。
4.解約の申入れをすることができる旨の定めがないことの範囲
この点については、解約条項があるものの、解約違約金等のペナルティが設定を考慮するとプルペイアウトと判断されるものの取扱いが問題となりますが、このようなペナルティの存在によりプルペイアウトになるものも「解約の申入れをすることができる旨の定めがない」ものに該当するとされています。
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