マクドナルドが11年ぶりに赤字予想に!-消費期限切れ肉使用問題がなくても苦しかったようですが・・・
2014年10月7日に日本マクドナルドホールディングスは、消費期限切れ肉使用問題発覚後、未定としてた業績予想を発表し、11年ぶりに赤字転落となる見通しを発表しました。
公表された業績見通しは以下のようになっています。
(出典:「平成 26 年 12 月期 通期業績予想の修正および特別損失計上に関する知らせ」)
単なる偶然でしょうが、年初の業績予想である経常利益107億円の符号が反対になり経常利益△107億円となっています。
まずは、過去5年の業績の推移を確認してみます。
(出典:2013年12月期有価証券報告書)
まず目を引くのは売上高の減少傾向です。しかしながら、同社の場合、直営店とフランチャイズ店の数の変動によって売上高は変動するので、連結財務諸表上の売上高にはそれほど意味はないと言えそうです。
そこで店舗数の推移を確認してみると以下のようになっていました。総店舗数が7~8年前と比較すると約18%程度減少していますが、それ以上に直営店の減少、フランチャイズ店の増加が顕著です。
(出典:同社短信開示情報より作成)
上記の傾向により売上は減少傾向にある一方で、過去5年間の推移からすると2013年12月期を除き経常利益は比較的安定しています。
2013年12月期は経常利益が前年に比べて半減していますが、決算説明資料によると、主な要因は以下のようになっています。
今までマクドナルドの決算資料を確認したことがありませんでしたが、興味深いのは「店舗運営事業の売却益及び加盟金収入」というものです。
加盟金収入は1店舗500万円のようですので、11年12月期から12年12月のフランチャイズ店舗の増加数から考えると8億円程度の影響となります。ということは、残りの部分は店舗運営事業の売却益ということで、これが与える影響が大きいと考えられます。
直営店をフランチャイズに転換するときに事業の売却益が発生するという仕組みだと推測され、12年12月期から13年12月期にかけてフランチャイズ店舗数はほとんど変動していないため、前年との比較では利益の減少要因となるということだと考えられます。
そうだとすると、転換できる直営店の数が最近8年で約3分の1になっており、残り約1000店舗となっているので、店舗運営事業の売却により利益を稼ぐというのは今後難しいと考えられます。
さて、今回業績予想発表にあたり公表された資料によると、年初の公表利益との差異は以下のように分析されています。
消費期限切れ肉使用問題の影響額が圧倒的に大きいのですが、通常のビジネス△25億円という部分も注目に値します。仮に、今回の問題が発覚しなかったとしても、期首の通期予想と比較すると20%以上は予想を下回っていたということになります。
つまり、今回の問題がなくともかなり厳しい状況にあったというのが実態だと言えそうです。
今回発覚した問題に関する影響額は「上海福喜問題に伴う財務的影響額」として以下のように開示されています。
興味深いのは原材料の廃棄費用30億円です。同社の連結BSにおける原材料は約12億円ですので、追加的な処分費用がかかるにしても廃棄費用が30億円も生じているのは不思議な気がします。
今後ランチタイム限定で一昔前の価格帯のバリューセットを販売することも発表されました。350円、450円、550円のセットということで、一昔前のマクドナルドが戻ってきた感じです。セットで700円も800円もすると、代替案ありすぎて敢えてマクドナルドで食べないと思いますので、気づくのに時間がかかったなというのが個人的な感想です。
そうはいっても、材料費や人件費もあがっているので、上記の価格で提供するために再び問題が起きないことを祈ります。
日々成長