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出る杭はもっと出ろ!

有価証券報告書作成の留意点(平成27年3月期)-その1

今回は平成27年3月期の有価証券報告書作成上の留意点について確認します。

ポイントはいくつかあると思いますが、まずは退職給付会計基準の改正が有価証券報告書に与える影響を確認します。

1.連結包括利益計算書

3月決算の場合、既に第1四半期から対応済みの項目ではありますが、(四半期報告書ではなく)有価証券報告書としては、連結包括利益計算書上、「退職給付に係る調整額」が登場することになります。

2015-04-22_1
(日本電機 第2四半期報告書(平成26年9月30日))

これも既に対応済みなので問題ないと思いますが、連結BS科目が「退職給付に係る調整累計額」とよく似た勘定科目となっていますので注意が必要です。

2.株主資本等変動計算書

株主資本等変動計算書では、退職給付会計基準の改正による影響額を期首剰余金で調整している場合、「当期首残高」の下に「会計方針の変更による累積的影響額」及び「会計方針の変更を反映した当期首残高」という項目が登場することになります。

これは、包括利益計算書と異なり連結財務諸表を作成していない会社にも影響することとなります。

ところで、退職給付会計基準の改正による期首剰余金の調整は平成27年3月期にのみ生じることとなりますが、比較情報として開示される平成26年3月の表形式は平成27年3月期と会わせる必要があるのだろうか?という疑問が生じます。

この点について、プロネクサスの記載例を参照すると、平成26年3月期の株主資本等変動計算書も同様に項目を追加し「会計方針の変更による累積的影響額」に「-」を表示する記載例が示されています。あまり意味はなさそうですが、前期も当期と同じ形式にしておくというのが無難なようです。

3.会計方針の変更

退職給付会計基準の改正により割引率の変更や勤務費用の計算方法の見直しの影響は平成27年3月期から発生することなります。そのため、第1四半期でも同様の記載を行っていた会社が多いと思いますが以下のような会計方針の変更を記載する必要があります。

(会計方針の変更)
(退職給付に関する会計基準等の適用)
「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 平成24年5月17日。以下「退職給付会計基準」という。)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 平成24年5月17日。以下「退職給付適用指針」という。)を、退職給付会計基準第35項本文及び退職給付適用指針第67項本文に掲げられた定めについて当連結会計年度より適用し、退職給付債務及び勤務費用の計算方法を見直し、退職給付見込額の期間帰属方法を期間定額基準から給付算定式基準へ変更するとともに、割引率の決定方法を従業員の平均残存勤務期間に近似した年数に基づく割引率から、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用する方法へ変更しております。
退職給付会計基準等の適用については、退職給付会計基準第37項に定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首において、退職給付債務及び勤務費用の計算方法の変更に伴う影響額を利益剰余金に加減しております。
この結果、当連結会計年度の期首の退職給付に係る負債がXXX百万円増加し、利益剰余金がXXX百万円、少数株主持分がXX百万円、それぞれ減少しております。また、当連結会計年度の営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれXX百万円増加しております。
なお、当連結会計年度の1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額はそれぞれ、XX.XX円、X.XX0円、X.XX円増加しております。

ところで、複数事業主制度の表示に関連して「退職給付に関する会計基準の適用指針」が以下のとおり平成27年3月26日に改正さています。
2015-04-22_3

したがって、上記注記例の「退職給付に関する会計基準の適用指針」の最終改定日は平成24年5月17日ではなく、平成27年3月26日となります。しかしながら、平成27年3月26日に改正は複数事業主制度の開示に係る部分の改正に過ぎないので、退職給付債務や勤務費用に与える影響は平成24年5月17日から生じるものです。このようなケースでは「平成24年5月17日公表分」というような開示をすることとなるとのことです。

まだ退職給付関連がのこっていますが、長くなったので今回はここまでとします。

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