天然ガスの可能性
シェールガスの採掘技術が確立してきたことにより、最近天然ガスについて書かれている書籍や雑誌記事を多く見かけるようになりました。
今回は「世界を変える、クール・ソリューション 低炭素社会の新しい競争と選択」(金谷 年展 著)で天然ガスについて紹介されていた内容を紹介します。
シェールガスは従来型の天然ガスよりも深部に存在するため、コスト面で採掘することができなかったが、最近になって採掘技術が高度化してきたことで商業化がすすんでいます。
米国では、2007年に年間340億?であったシェールガスの産出量が09年には900億?へと急増しており、あと6~7年で枯渇されるといわれていたものが、国内需要の90~100年分以上のガス資源があるとされるように変化しているそうです。
EUにおいても、ポーランドに米国並みのシェールガスがある可能性が出てきており、埋蔵量は国内消費量の300年分にもなるとのことです。
そして天然ガス車が世界の新潮流になってきているそうです。天然ガス車は現時点で世界各国で約1200万台以上走っています。米国の市場調査会社の調査レポートでは、08年から15年の間に970万台から1700万台に増加し、年間販売数は初めて300万台を上回ると予測しています。
お隣の韓国では10年ほど前から公共交通機関の天然ガス化を進めており、2010年内にはソウル市内の路線バスがすべて天然ガス化される予定とされています。
これが実現したか調べてみましたが、2010年8月に生じたバスの爆発事故の報道では、その時点で全体の95%が天然ガスバスであるとされていましたので、概ね達成されているようです。
韓国が戦略的なのは、天然ガス化を進める中で蓄積した技術やシステムを、海外に輸出して利益をあげていることです。05年には3300万ドルだった天然ガスのバス輸出の輸出実績を08年には1億8700万ドルまで成長させていることです。
日本も原発や水ビジネスで同じような展開を狙っていましたが、今回の震災で原発は消えてしまったと考えた方がよさそうです。水ビジネスについてはなんとか成功させてもらいたいものです。
なお、同書の「クールソリューション」というのは、電気自動車、太陽電池、スマートグリッドなど低炭素社会の実現に向け新たに登場し、注目を集めている解決策を筆者は「ホット・ソリューション」と呼び、それに対する概念として、過去の解決策として見られがちだが確実に進歩している技術、例えばディーゼル車や天然ガス車などの内燃機関の車を「クール・ソリューション」と呼んでいます。
同書で紹介されていましたが、2010年10月にマツダはガソリン1リットルあたり30㎞の低燃費を実現した「デミオ」を11年前半に発売すると発表しているそうです。
マツダのIR情報を確認したところ2011年5月18日に新型のエンジンの開発が完了した旨の発表が行われており、確かに 1リットルあたり30㎞の低燃費が実現したと記載されています。スペックが異なるので単純に比較はできませんが、燃費だけならハイブリッド車ともいい勝負になりそうです。
プレスリリースは以下参照
http://www.mazda.co.jp/corporate/publicity/release/2011/201105/110518a.html
その他同書では、クールソリューションによる低炭素戦略が述べられていますが、興味がある方は一読してみるのもよいのではないかと思います。
日々成長。