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上場会社の配当支払方法(その1)

今回は配当金の支払方法について確認します。非上場会社であれば配当金の支払方法といっても、源泉徴収に注意して各株主に振り込むだけという感じになると思いますが、上場会社の場合には少々複雑になります。

上場会社の場合、配当金の支払いについては、一覧払いと振込払いを併用していることが通常です。

一覧払

一覧払いは、ゆうちょ銀行の窓口や会社が委託した金融機関で配当金を受け取れる配当金領収書といった証書を株主住所宛に送付する方法です。

株主は、指定された金融期間に取扱期間内に証書を持ち込むことで配当金(現金)を受け取ることができます。取扱期間をどれくらいにしなければならないのかという法的な規制はないようですが、通常1ヶ月程度が取扱期間として設定されています。

株主の立場からすると、この期間内に指定金融機関に持って行かなければならないのが手間ですし、万一この期間内に持って行くのを失念すると面倒なので、後述する振込払いを選択されている方が圧倒的に多いようです。

上記の通り、会社はゆうちょ銀行か全銀協加入銀行のどちらかに一覧払いの取扱いを委託していますが、全国に多く存在することから、「ゆうちょ銀行」が利用されていることが多いと思いますので、以下ではゆうちょ銀行の配当金領収書制度について記載します。

ゆうちょ銀行の配当金領収書制度は、ゆうちょ銀行の簡易払いサービスを利用して、配当金を支払う会社がゆうちょ銀行に配当金支払い事務を委託する制度です。

会社は、ゆうちょ銀行にあらかじめ制度利用の申込を行って配当金支払い専用の振込口座を開設し、支払開始日の前営業日までに配当金支払資金を入金しておく必要があります。ゆうちょ銀行の一覧払いを選択している株主がどれくらいいるのか、いくらゆうちょ銀行の口座に振り込んでおく必要があるのかは、株式事務を委託している信託会社が集計し会社に通知してくれます。

なお、ゆうちょ銀行の配当金支払い専用口座については通帳がないとのことです。

また、料金は「支払金額の合計の1000分の8.22相当額に、配当金領収証1枚につき5円を加えた額」(ゆうちょ銀行HPより)となっています。

最後に、該当するケースはそれほどないと思いますが、ゆうちょ銀行の配当金領収書は1枚の記載金額が100万円以下でなければならないため、100万円を超える場合には、複数の証書に分割する必要があります。

振込払い

振込払いは、その名のとおり、株主から銀行等の振込口座の指定を受け当該口座に配当金額を振り込む方法です。

上場会社では、銀行の口座に振り込む方法に加えて約4割の会社がゆうちょ銀行の口座に振り込む方法を採用しているとのことです(「詳解 株式実務ハンドブック」(東京証券代行株式会社))。

なお、振込手数料については、会社法の定めにより会社が負担しなければならないとされています(会社法457条2項)。これは、上場会社では証券代行の指示で間違えることはないと思いますので、むしろ非上場会社の場合に注意を要する点だと考えられます。

上場会社などの振替株式等の配当金を指定口座への振込で受領する方法としては以下の三つの方法が用意されています。

  1. 個別銘柄指定方式(単純取次方式)
  2. 登録配当金受領口座方式
  3. 株式数比例配分方式

なお、株主がいずれも指定しなかった場合には、一覧払いの方式により配当金領収書が送付されることとなります。

上記三つの方法については長くなりましたので、次回以降とします。

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