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米国版失われた10年

2011年1月18日号の週刊エコノミストに福井県立大学の服部茂幸教授が「米国の失われた10年が始まった」という記事を書いていました。

FRBのバーナンキ議長が、現在の異常な失業率が正常化するには4~5年かかるとTVインタビューに答えたことから、サブプライム問題が表面化した07年から起算すると正常化まで約10年がかかることを指して「米国版失われた10年」と説明されています。

もっとも、服部教授は4~5年で正常化も楽観的過ぎるかもしれないとし、コア消費支出デフレータ(PCE)の伸び率が低下している状況から米国も日本と同様にデフレに突入しつつあると解説しています。
先進国では日本のみがデフレに陥っているとよく言われていますが、米国もデフレ基調に陥りつつあるというのは目新しい意見だと思いました。

また、FRBのバーナンキ議長はデフレを克服するため積極的に金融政策を活用したが、金融政策が機能しておらず、その理由として以下の三点を挙げています。

①金利の経路
住宅バブルが崩壊した状況においては、住宅を購入することがそれほど有利ではなくなっている。金利が低下すれば住宅需要を回復させることができるかもしれないが、政策金利はすでに0であり、バーナンキ議長が引き下げが可能と主張する長期金利についてもやはり下限はある。その下限まで長期金利が低下したとしても、十分かどうかはわからない。

②信用制約の問題
住宅バブル期には、住宅価格の上昇を見込んで所得が低く返済能力が低い人々にも金融機関が融資を行ったが、住宅バブルが崩壊した現状ではそのような危険な借手に住宅ローンを貸す金融機関はない。

③資産価格の上昇を通じる経路
住宅バブルが崩壊した現在では、家計は住宅ローンを借りて住宅を購入しようとは考えないし、貸手の金融機関も危険なローンは貸し出さない。ファンドなどもサブプライム関連証券を購入しない。こうした状況下では住宅価格は上昇しない。

また、市場にいくら資金を供給しても新興国に流れて行ってしまうため効果はあまりないと説明されています。

金融政策があまり効果がないのは日本も同様です。結局のところは、人々の心理の問題なのだと思います。将来が不安だからとりあえず貯蓄しておき消費を控えるという個々には最適と思われる多数派の行動が、マクロでは景気の低迷につながっているということなのではないかと思います。

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