閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

「重加算税」部分も遡及修正の対象になるか?

以前“税務調査による追徴と過年度遡及修正の関係”というエントリで、税務調査で追徴を受けた場合の考え方については一度書きましたが、加算税部分がどうなるのかについては正直あまり意識していませんでした。

ところが、2012年7月4日にオリンパスが、過年度の決算訂正に関連して追徴課税がなされるとの報道に対して開示した「本日の一部報道について」を読んで、ふと疑問が生じました。

その中では、「本件については訂正した過年度決算の中で納税相当額の全額を引き当て済みですので、今後の業績に与える影響はない見込みです。」と記載されていたのですが、仮に「重加算税」が課せられた場合、その金額も遡及修正するのだろうかという疑問です。
(なお、上記のオリンパスのリリースでは、加算税がどうこうという話は記載されていません。個人的なイメージとして、悪質な粉飾⇒重加算という言葉が頭に浮かんだ次第です)

この点について、「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会実務指針第63号)では以下のように述べられています。

「④ 追徴税額(利子税を除く加算税等を含む。)及び還付税額
法人税等の更正、決定等による追徴税額及び還付税額は、過年度遡及会計基準及び過年度遡及適用指針に基づき処理することになる(過年度遡及会計基準第55項参照)。なお、これらが過去の誤謬に起因するものでない場合には、損益計算書上、「法人税、住民税及び事業税」の次にその内容を示す名称を付した科目をもって記載する。・・・(以下省略)」

重加算税が課せられるようなケースでは、「見積もりの変更」ではなく「誤謬」に該当するケースが多いものと推測されますが、上記で「加算税額を含む」とされていること、および「これらが過去の誤謬に起因するものでない場合には」として誤謬にあたらない場合の取扱いが示されていることからすると、たとえ重加算税であっても誤謬として過年度遡及修正する場合は、前期以前の財務諸表を修正することになると考えられます。

ただ、誤謬であったとしても加算税分も含めて遡及修正することについては若干の違和感を覚えます。加算税は本来正しく処理していたとしたら発生しなかった費用(損失)なので、いくら過年度分の誤謬に関連して発生したものであったとしても、過年度に遡って修正するとその期に未発生の費用を負担させることになるのではないかと感じられるためです。

少し違った視点から、(多少現実離れした仮定ですが)前期に行った行為に対して当期に訴訟が提起され、当期に多額の損害賠償金の支払いが生じたようなケースを考えてみます。
この場合、原因が前期にあるからといって、損害賠償金を前期の損失として計上するような遡及修正は行われないと考えられます。

加算税の場合と上記の訴訟のケースで考え方の違いがなぜ生じるのかについては、結局のところ「誤謬」の定義に戻って考えてみる必要がありそうです。

「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」4項(8)において、「誤謬」は以下のように定義されています。

———————————————————————————————–
「誤謬」とは、原因となる行為が意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる、次のような誤りをいう。
① 財務諸表の基礎となるデータの収集又は処理上の誤り
② 事実の見落としや誤解から生じる会計上の見積りの誤り
③ 会計方針の適用の誤り又は表示方法の誤り
————————————————————————————————

重加算税が「誤謬」に関連したものである場合、財務諸表作成時に重加算税として課せられる金額を見積もって引当計上することが可能であったにもかかわらず、それを行わなかった状態であるので重加算税部分も「誤謬」に該当すると考えられるのに対して、訴訟のケースでは訴訟が提起されるまでは入手可能な情報がないため「誤謬」に該当しないと考えられます。

訴訟のケースであっても、訴訟が提起されていることを知っており、賠償金を支払う可能性を認識していたような場合には、入手可能な情報を使用しなかったということになるので「誤謬」に該当し、遡及修正が必要になると考えられます。

なお、重加算税分を遡及修正して計上した場合、遡及修正によって引当計上した金額と実際の確定額が異なった場合については、「見積もりの変更」として確定時に差額を処理することになると考えられます。

なんだか違和感を覚えたものの、よくよく考えるとやっぱり妥当な処理のようです。

日々成長

関連記事

  1. 平成27年3月期の監査人の交代は46社

  2. 時価の算定に関する会計基準(その1)

  3. 後発事象ー決算発表直前に発生すると困ります

  4. 「法定実効税率の変更による繰延税金資産及び繰延税金負債の修正額」…

  5. 事業譲渡と会社分割の違いは?

  6. 保守サービスの売上を一括計上から期間按分への変更した事例




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,956,214 アクセス
ページ上部へ戻る