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新規設立海外子会社と云えども子会社の経費を親会社が負担すると危険なのはわかりますが・・・

税務通信3044号に海外展開時の広告宣伝費を外国子会社が全額負担すべきとした裁決事例が紹介されていました。平成14年6月24日の裁決事例で、随分前のものではありますが、海外子会社設立当初にありそうな事例なのでまとめておきます。

結論として、この事例では日本海鞘会社の広告宣伝費負担が「国外関連者への寄附金」と認定されたそうです。

事例の概要は以下のとおりです。

食料品の製造販売業を営むA社(請求人)と中国の国営企業B社が、中国に合弁会社Cを設立。持株比率はA社51%、B社49%。A社とC社間で技術援助契約を締結し、A社はノウハウの提供やA社商標権の使用許諾を与える代わりに、C社から一定のロイヤリティーを受けることとした。そして、ここが一つのポイントですが、A社は、A社製品を独自ルートで販売することはせず、C社にA社製品や原材料の供給等も行っていませんでした。

合弁会社C社は、中国でC社製品の製造販売を行うとともに、C社製品の売上を拡大するためテレビ広告、バスの車体広告、新聞や雑誌の広告等の広告宣伝活動を行い、親会社A社は本件広告宣伝活動に係る経費を負担し広告宣伝費として計上した。なお、上記C社の広告はC社製品のみならずA社の登録商標も含めた広告宣伝であった。

この広告宣伝費を税務当局は、C社が負担すべきものであり、A社負担分はC社(国外関連者)に対する寄附金であるとして更正処分を下し、争いとなった。

結論としては、前述のとおり会社が負けるわけですが、A社及び税務当局の主張はそれぞれ以下のとおりであったとされています。

A社の主張

①本件広告宣伝に係る経費は、A社製品の新規市場開拓のためのものであるから開発費に該当する。

②本件広告宣伝は、A社が中国マスコミ各社と直接契約して実施したA社独自の広告宣伝であり,C社の広告宣伝費を肩代わりしたものではないため、寄附金には当たらない。

③本件広告宣伝によりC社製品の売上が増加すれば、ロイヤリティー収入も増加することとなるため,本件広告宣伝費のA社負担は、C社への利益供与には該当しない。

税務当局の主張

①A社が合弁会社CにA社製品を供給していない事実や、A社が中国市場開拓に係る将来構想プランを提示していないことなどを踏まえると、本件広告宣伝に係る支出は開発費に該当しない。

②A社は、中国でA社製品の販売等ができず、契約上はロイヤリティー収入を得られるにも関わらず実際には収受しておらず、中国市場開拓に係る将来構想プランも持たないなど、収益面での見返りが期待できない状況下で本件広告宣伝費を負担しているため、これはC社の経費負担軽減のための行為としかいえず、本件広告宣伝費は寄附金に当たる。

③A社はロイヤリティーを収受していないため、本件広告宣伝費のA社負担はC社への利益供与に当たる。

審判所の判断理由

①本件広告宣伝費がC社製品に係るものである以上、A社の開発費には該当しない。

②A社がC社にA社商標の使用許諾を与えている点、C社が中国でのテレビCMの広告主となっている点、A社がA社製品を独自ルートで販売せず、C社にA社製品や原材料の供給等も行っていない点などを踏まえると、本件広告宣伝はA社独自のものとはいえない。

③本件広告宣伝費はA社製品ではなくC社製品に係るものであり、広告宣伝費の多寡に関わらずC社が負担すべきものであるためl、A社負担によりC社が利益を享受しているといえる。

④A社が本件広告宣伝費を負担することにより、C社の売上が増加し、結果的にA社のロイヤリティー収入が増加する面があるとしても、それは反射的なものに過ぎず、これをもって、本来はC社が負担すべき本件広告宣伝費をA社が負担することの合理的理由とはなり得ない(実際には、A社はC社からロイヤリティーを収受していない)。

⑤本件広告宣伝の対象製品はC社製品であり、広告宣伝の中にA社商標が含まれていたとしても、それは使用許諾に基づきC社製品の広告宣伝用に使用されているに過ぎず、本件広告宣伝はA社製品の販売とは関係がないなどとした。

上記以上の詳細な内容は記載されていませんが、「C社製品のみならずA社の登録商標も含めた広告宣伝」としていたあたりは会社側も寄附金認定される危険性は認識していたのではないかと思います(なお、この点については悲しくも審判所の判断理由⑤で意味がなかったということになってしまっています。)また、審判所の判断理由②は会社の主張②と一見矛盾するようですが、「中国でのテレビCMの」ということなので、広告によってはA社が直接契約しているものがあったということだと推測されます。さらに審判所の判断理由③は、会社にとっては酷な気がしますが、「実際には、A社はC社からロイヤリティーを収受していない」という部分がなければ結論が変わっていたのかが気になるところです。

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