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長期為替予約とヘッジ会計適用の可否

最近約2カ月で急激な円安が進んでいます。2012年12月3日においては1$=82.23円であったのに対して、現時点では1$=91.06円と約9円(約11%)円安方向に為替が変動しています。

こうなると、いつ1$=100円になってもおかしくないと思えてくるので、輸入企業では今のうちに為替リスクをヘッジしておきたいという誘因が強くなります。

そこで、長期の為替予約等でリスクをヘッジしようかということになります。財務リスク的には、長期の為替予約であろうと通貨オプションであろうと構わないのですが、会計上は少々問題が生じる可能性があります。

会計上問題が生じるのは、為替予約等の金融商品の時価変動をPLに計上せずに繰り延べたい、すなわちヘッジ会計を適用したいと考える場合です。

結論からすると、包括的な長期為替予約について1年を超える部分については、基本的にヘッジ会計の適用ができません。この点については、金融商品実務指針Q&Aの55-2で以下のように述べられています。

Q55-2:当社は今後数年間の月々の輸入取引に使用する目的で、毎月同額、同一レートの円売りドル買いの為替予約を包括的な取引として締結することを考えています。このような取引はヘッジ会計の対象となると考えてよいでしょうか。また、振当処理は適用できるでしょうか。

A: 予定取引の発生可能性については、主要な取引条件が合理的に予測可能であり、かつ、それが実行される可能性が極めて高い取引であることが必要であり、特に予定取引発生までの期間が1年以上の場合、他の要素を十分吟味する必要があるとされています( 実務指針第162項)。外貨建輸入取引に係る為替予約については、過去の取引実績等から考えて長期的に予定取引が発生し得る場合においても、1年以上のものは、輸入見合いの長期の円建売契約がある場合を除き、原則として会計処理上は投機目的と考えられます。ただし、1 年以上の予定取引についても、(a) 為替相場の合理的な予測に基づく売上と輸入( 輸入品目を特定する必要があります。) に係る合理的な経営計画( 通常3 年程度) があり、かつ、損失が予想されない場合、若しくは、(b) 輸入予定取引に対応する円建売上に係る解約不能の契約があり、かつ、損失とならない場合にのみ、当該予定取引をヘッジ対象とすることは、妥当と認められる場合も考えられます。この場合であっても、それ以外の部分は、一般的に会計処理上は投機目的と解され、為替予約の時価評価差額を純損益に計上する必要があります。
なお、ご質問のような包括的な長期為替予約においては、円の利子率がドルの利子率よりも低い場合、契約期間前半は、各受渡日を期日とする為替予約よりも低く、後半は、各受渡日を期日とする為替予約よりも高くドルを購入することになります。これは、二通貨の金利差のために受渡期日が長期になればなるほどドルをより低い相場で購入することができることを利用して、契約期間中のキャッシュ・フローの現在価値がドルの購入額と円の支払額とで等しくなるような同一レートに契約レートが設定されているためです。同一の契約レートの包括的な長期為替予約は、通貨スワップの一種とも解されますが、契約時と満期時の元本の交換もなく、また、為替予約と同等とも認められないため、通常、振当処理の対象とはなりません(会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」( 以下「外貨建取引等実務指針」という。) 第6 項)。したがって、為替予約の振当処理を行った場合との差異の重要性が乏しい場合を除き、契約レートで月々一定額を交換する包括的長期為替予約等のうちヘッジ手段となる部分については、契約レートを契約締結時の理論先物相場に引き直してヘッジ手段に係る損益又は評価差額に税効果会計を適用し、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上した上で、これを控除した金額を繰延ヘッジ損益として純資産の部に計上し、繰り延べることになります(実務指針第169項から第171項)。

上記から、原則として1年以上の予定取引を対象とする為替予約等は「投機目的」と判断されるためヘッジ会計を適用して損益を繰り延べるということはできないということになります。したがって、長期的な為替予約を考えている会社では、財務諸表上の損益に予想外の影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。

さらに、このように円安が急激に進んでくると、怪しげな仕組み商品が登場することが予想されます。例えば1$=80円位でドルを購入できるといった仕組み商品です。このような金融商品には注意が必要です。有利に見える条件の裏には同じレベルの不利な条件が隠されているという点を忘れてはなりません。メリットとデメリットが均衡しているからこそ商品として成立するはずだということです。

内容が理解できない金融商品に手は出さない。この鉄則は最低限守るべきものだと思います。

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