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敷金を現物出資することはできるのか?

今回は、敷金を現物出資することはできるのか?についてです。

そもそも、現物出資は変態設立事項として会社法で定めれられているものであるので、会社法で現物出資をどのように規定しているのかが重要となります。

この点については、「現物出資を何で行うかは、動産・不動産・手形・有価証券・出資金・鉱業権・特許権など貸借対照表能力を有するものである限り、その対象となりうる。それは財産権の移転に限らず、使用収益権の設定でもよく、金銭の出資に加えて複合的に出資するものも含まれる。したがって、事業の全部又は一部も現物出資の対象となりうる」(「現物出資と現物分配の税務」(木村一夫))とされています。

貸借対照表に敷金として計上されている金額は貸借対照表能力があるはずですので、上記からすれば敷金を現物出資することも可能と考えらえます。もっとも、金融商品実務指針133項において「賃貸人の支払能力から回収不能と見込まれる金額がある場合には、貸倒引当金を設定する必要がある。」とされているので、そのような場合は貸倒引当金控除後の金額が貸借対照表能力を有するが金額ということになると考えられます。

と、これで終わればわかりやすくてよいのですが、ネットで検索すると敷金や差入保証金を現物出資することはできないと解説しているものが散見されます。

理由として挙げられているのは、概ね以下の二つです。

①敷金は金銭債権ではないから

これは、敷金は物件を明け渡したときに初めて返還請求権という金銭債権になるため現物出資することができないというものです。しかしながら、敷金が金銭債権でないにせよ、貸借対照表能力があることは明らかなので、金銭債権でない状態の敷金が現物出資できないという根拠にはならないのではないかと考えられます。

②敷金は実際にいくら返還されるかわからないから

これは、敷金は通常原状回復費用を差し引いた金額が返金されることになるため、評価額が確定できないからというものです。しかしながら、基本的に資金は全額返金されるのが原則ですし、いくらになるかがわからないというのであれば、土地であろうと建物であろうと実際に現金化してみないといくらになるかはわからないので、これも理由としては弱いと思います。

とすれば、やはり敷金も現物出資できそうですが、敷金を現物出資できないとする根拠を発見しました。

それは、登記上の理由です。裁判上の判例のように登記にも先例というものがありますが、その中に「賃借物の返還により既に発生している敷金返還請求権の現物出資は可能であるが、賃貸借契約が継続中であるなど、敷金返還請求権が現に発生していない場合には,これを現物出資の目的とした設立の登記の申請は、受理することができない」というものがあります。

すなわち、「賃貸借契約が継続中」の場合、敷金を現物出資財産とすると設立の登記ができないということになります。ここから推測するに、増資の場合も同様ではないかと思います。ただし、この点ついては、法務局と交渉の余地があるようです。

まとめると、会社法上の考え方では敷金も現物出資対象となりうるが、登記ができないことから、実務上は敷金は現物出資できないと言われることが多い、ということのようです。

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