繰延税金資産は税務調査でも注目される?
T&A master No.564に”税務調査で「繰延税金資産」に注目”という記事が掲載されていました。
この記事によると、税務調査の現場では”「繰延税金資産を計上しなかったこと」に租税回避の意図が疑われる恐れがある”とのことです。
何故このようなことになるかですが、「実務上、法人税の申告の際には大きな繰越欠損金を計上しているにもかかわらず、これに対応する繰延税金資産が計上されていない場合があるが、その背景には法人が繰越欠損金を損金算入できるかどうか確信を持てなかったという理由が存在していることがある。実際、会計監査の際には、繰延税金資産の計上を巡り、監査法人が税務否認のリスクにまで言及することが珍しくない。」ためです。
「珍しくない」かどうかはわかりませんが、税務否認のリスクを勘案するのであれば、会計上は繰延税金資産の計上というよりは負債計上額の問題となる可能性の方が高いのではないかという気がします。
しかしながら、税務調査の観点では、繰越欠損金に対応する繰延税金資産を計上していないことが、「否認リスクを認識している」と見られ、租税回避の意図を疑われる可能性があるとのことです。
そして、ヤフー事件ではメールが裁判において認定事実して採用されたことから、監査法人との間で「否認リスク」についてやりとりしたような議事録などが残っていると、それが租税回避の意図を疑われるきっかけとなる可能性があるとされています。
多額の繰越欠損金に対して繰延税金資産が計上されていないのは、単に回収可能性が疑わしいからというのが一般的ではないかと思いますが、組織再編等で繰越欠損金が発生しているようなケースでは上記のような見方をされる可能性にも注意しておく必要がありそうです。
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