上場会社の配当支払方法(その2)
上場会社の配当金支払方法について、前回の続きで振込払いの三つの方法についてです。
個別銘柄指定方式(単純取次方式)
個別銘柄指定方式は、株主が所有する株式の銘柄ごとに指定した銀行等の口座で、配当金を受領する方式です。平成21年に株券の電子化が図られる前は、配当金領収書方式か個別銘柄指定方式しか配当金の受取方法が存在しませんでした。
実際この方式を利用したことはありませんが、株主が個別銘柄指定方式を選択する場合には、銘柄ごとに「配当金払込指定書」を提出して振込先を指定することとなるそうです。
個別銘柄指定方式を株主が指定した場合、証券会社等から随時データで振込情報が株式会社証券保管振替機構(以下「ほふり」)を経由して、株主名簿管理人に送信されることとなっています。
結局のところ、株主名簿管理人に任命している信託会社が株主がどの方法を選択しているかという情報をとりまとめてくれるため、会社としては特に株主がどの方法を選択しているかを意識しなければならないということはなく、後述する二つの方式と合わせて必要な金額を、引き落とし口座に準備しておければよいだけといえます。
信託会社で集計される単純取次方式による銀行振込の件数からすると、この方式を選択している株主は1%~3%程度ではないかと推測されます。
登録配当金受領口座方式
登録配当金受領口座方式は、あらかじめ指定した一つの銀行等の口座ですべての株式等の配当金を受領する方法です。三つの方法の中で最も多く選択されている方法ではないかと推測されます。
後述する株式数比例配分方式は、証券口座に入金されるので、直接自分の口座に入金されるこの方法が選択されることが最も多いというのは想像に難くありません。
この方式は、すべての配当金等が指定した一つの口座に入金されますので、複数の銘柄を保有する場合に、一部の銘柄のみ他の方法によるということはできません(そもそも、そうするメリットもないと思いますが・・・)。
株主がこの方式を指定した場合は、随時ほふりに振込データが通知され加入者情報に登録され、ほふりは総株主通知に際して振込データを付して株主名簿管理人に通知することとなっています。株主名簿管理人に通知されるので、やはり会社としては特に意識する必要はないと思います。
なお、「総株主通知」とは、ほふりが発行会社に対して基準日の株主情報を通知するもので、基準日の翌営業日から3営業日目に通知されます。