国際取引と消費税(その2)-内外判定1
5.内外判定
消費税は、国内において事業者が行った資産の譲渡等及び特定仕入れを対象として課税されます(消費税法4条1項)。裏を返すと、国内以外のの場所で行われたものは消費税の課税対象外取引となります。
したがって、消費税を考える上では、その取引が国内取引なのか国外取引なのかをきちんと判断できることが必要となります。
例えば、日本の会社が外国に保有している建物を売却しても国外取引ですので、日本の消費税の課税対象とはなりません。国外に所在する資産を売却するというようなケースは内外判定で迷うことはないと思いますが、国内から国外へ資産を譲渡する場合、取引の始点と終点のどちらをベースに内外判定をするのかによって、判断が異なることになります。
「輸出免税」という取扱いがあることから想像できるように、国内から国外への資産の譲渡については、国内取引として取り扱われるわけですが、これは消費税法4条3項1号において「資産の譲渡又は貸付け」については、「当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所」で内外判定を行うと定められていることによります。
以下、取引の種類別に内外判定の考え方を確認していきます。
(1)資産の譲渡又は貸付
資産の譲渡又は貸付けについては、上記の通り、その譲渡又は貸付けが行われる時においてその資産が所在していた場所が国内にあるかどうかにより内外判定を行うとされています(消費税法4条3項1号)。
したがって、国外の倉庫に保管されている棚卸資産を国内事業者間で売買しても国内取引には該当しません。
では、特許権や商標権などの無体財産権を譲渡したような場合の内外判定はどう行うかですが、これらについては消費税法施行令6条各号の定めにしたがって内外判定を行うこととなります。
例えば、「特許権、実用新案権、意匠権、商標権、回路配置利用権又は育成者権(これらの権利を利用する権利を含む。)」については、「これらの権利の登録をした機関の所在地(同一の権利について二以上の国において登録をしている場合には、これらの権利の譲渡又は貸付けを行う者の住所地)」とされています(5号)。
また、「著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずる権利を含む。)又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの」については、「著作権等の譲渡又は貸付けを行う者の住所地」とされています。
上記の他、船舶(1号)、航空機(3号)、公共施設等運営権(6号)などの内外判定について消費税法施行令6条で定められています。資産の所在地が移動するようなものや無体財産権の内外判定が問題となったときは、消費税法施行令6条を確認すると記憶しておきましょう。