エナリスの監理銘柄の指定が解除されないのは何故だろう?
5月末に特設注意銘柄の指定が継続され、7月29日に内部管理体制報告書を東証に再提出したエナリスですが、1か月を経過した現在も「監理銘柄(審査中)」に指定されたままとなっています。
内部管理体制報告書は会社が作成して提出するものとはいえ、提出に際しては東証と何度も協議して作成しているものだと思いますので、改めて審査するとしても1か月もあれば結論はでるだろうという気がしてなりませんので、何があるのだろうかというのが気になります。
内部管理体制報告書提出後、7月末に大手銀行2行から各10億円づつ借入を行った旨のリリースを出しているので、手元資金を潤沢にして、上場廃止に備えているのかななどと勘ぐっていましたが、さらに8月10日にKDDIとの資本・業務提携を発表しました。
以前のリリースで前社長一族の持株比率を低下させる旨が明らかにされていましたが、前社長一族の保有する株式のうち30%をKDDIに譲渡するという形で資本提携が実現しています。
このリリースが公表された8月10日に同社株式の終値は442円、このリリースを受けて株価は上昇し、相対取引で株式が譲渡された8月17日の終値は719円となっています。
ちなみに、30%分を取得したKDDIの取得単価は500円となっていますので、このバリュエーションが妥当であれば、その後の同社の株価は加熱気味といえそうです。KDDIが面倒を見てくれるという安心感はわかりますが、東証としては会社がつぶれることはなさそうだということであれば、どんな決断も下しやすくなったのではないかとも考えられます。
さらに8月24日に「臨時株主総会召集のための基準日設定に関するお知らせ」というリリースが公表されています。2016年10月に臨時株主総会を開催する予定とされていますが、「本臨時株主総会の開催日時、開催場所、上程する議案等につきましては、今後開催する当社取締役会において決定次第、改めてお知らせいたします。」となっています。
臨時株主総会を開いてまでやらなければならないことは何なのだろう・・・
KDDIから取締役を選任して社長が交代するというようなことも考えられなくはありませんが、臨時株主総会を開いてまでやる必要があることでもないように思います。もっとも、それがKDDIとの資本提携の条件であったり、東証からの要請事項であるという可能性もあるかもしれません。
ただ、時価総額約8000億円のKDDIが30%も取得するほどやる気を見せるのであれば、同社を上場させておくよりは、とっとと残りの70%を取得して完全子会社化してまうということも考えられなくはありません。
残り70%のうち前社長一族がなお保有している約19%の株式を取得した上で、残りを株式交換などで取得して完全子会社化するというのもありえます。
10月に開催される臨時株主総会の議案等については決定次第お知らせするとなっていますが、臨時株主総会を開催することは決定している以上、何をするのかは決まっているはずであり、東証もそれを把握しているはずです。
だとすると、このまま臨時株主総会まで指定は解除されないというのが答えなのかも知れません。とかいって、何事もなかったように明日解除されたりするのかもしれませんが・・・