法人税申告書勘定科目内訳明細書の作り方(その5)-支払手形・買掛金
今回は”法人税申告書勘定科目内訳明細書の作り方(その4)”の続きとして、「新版 記載例でわかる 法人税申告書 プロの読み方・作り方 (別表/勘定科目内訳明細書/法人事業概況説明書のチェックポイント)」を参考に「支払手形の内訳書」から確認していきます。
9.支払手形の内訳書
この内訳書のフォーマとは以下のようになっています。
受取手形の内訳書と比較すると「割引銀行名」列がない分、すっきりしてみえます。
内訳書の脚注で、一取引先に対する支払手形の総額が100万円以上のもの(100万円以上のものが5口未満のときは期末残高の多いものから5口程度)について記載が要求されているのは受取手形と同様です。
一方で、支払手形の内訳書では、「融通手形については、各別に記入し、摘要欄にその旨を記入して下さい。」とされています。
「融通手形」については、特に定義されていませんが、一般的には商品売買のような実態取引に基づかないで、他社の資金繰りを援助することを目的として振り出される手形のことを意味します。手形の受取人は銀行で手形を割り引くことによって資金を調達することができます。
この他、お互いに融通手形を振り出し合うというケースもあり、「交換手形」などと呼ばれることがあります。
作成上のポイントとして参考書籍で取り上げられていたのは、設備支払手形と手形借入金の取扱いについてです。
まず、「設備支払手形」が存在し、BS上「営業外支払手形」というような勘定科目で区分して処理されている場合には、内訳書でも勘定別(かつ流動・固定別)に区分して記載することが推奨されています。
また、証書貸付であるか手形貸付であるかにかかわらず「借入金」勘定で処理されていることが多いように思いますが、手形借入金について「手形借入金」といような勘定科目で処理している場合であっても「借入金及び支払利子の内訳書」に記載することとなる旨が解説されていました。
10.買掛金(未払金・未払費用)の内訳書
この内訳書のフォーマとは以下のようになっています。
脚注で記載されているのは以下の4つです。
- 「科目」欄には、買掛金、未払金、未払費用の別を記入する。
- 相手先別期末現在高が50万円以上のもの(50万円以上のものが5口未満のときは期末現在高の多額のものから5口程度)については各別に記入し、その他は一括して記入する。
- 未払金については、その取引内容を摘要欄に記入する。
- 配当金又は法人税法第2条第15号に規定する役員に対する賞与(使用人兼務役員に対する使用人職務分の賞与を除きます。)のうち未払となっているものがある場合には、次の欄にその内訳を記入する。
内訳書の脚注では上記の通り、取引内容を摘要欄に記入するとされているのは「未払金」のみですが、参考書籍では「未払金・未払費用については、「摘要」欄にその発生原因となった取引の内容を例えば「〇月分 電気代」「従業員給与」のように記入します」と記載されています。税務書としては加算すべきと考えられるものが正しく処理されているかを確認したいと思いますので、不必要な注意を引くことがないよう摘要に内容を記載しておいたほうがよさそうです。
また、「1枚の用紙に書ききれない場合には、適宜に複数の用紙を使って、科目ごとで分けて記載するようにします。この場合は使用する科目に応じて、内訳書のタイトルのうち不要な科目を横線等で削除して使います」とされています。
その他、作成上のポイントとして記載されていたのは、他の内訳書と同様、勘定科目別、流動・固定別に区分するということでした。
今回はここまでとします。