「会計税務委託料を必要経費と認めず」が昨年一番読まれた記事だったそうです-T&A master 2016
T&A master No.673(2017年1月9日号)に2016年の読者専用「記事データベース」年間アクセストップ20が掲載されており、第1位が「会計税務委託料を必要経費と認めず」という記事になっていました。
確かに注意を引くタイトルですが、あまり記憶になかったので改めて当時の記事を確認してみると、当該記事で紹介されていたのは、「不動産貸付業を営む請求人がその所有する本件書く物件に漢詩、本件会社(請求人の妻が代表取締役」に支払った「本件会計税務委託料」が不動産所得の計算上、必要経費に算入されるか否か」が争われたものでした(T&A master No.635)。
結論としては、タイトルにあるとおり、本件会計税務委託料は家事関連費に当たると認定し、不動産所得の必要経費とは認められませんでした。
理由は、請求人の青色申告のための各種資料の作成業務、税務調査対応業務に対応する部分については、
その内容から、所得税法45条1項2号の規定により必要経費に算入されない所得税に関するものであるところ、当該会計税務委託契約において会計税務委託料の業務ごとの内訳はなく一括で定められており、業務遂行上必要である部分を明らかに区分することができるという要件を満たさない(所令96条1号後段)ためとされています。
家事関連費について定めている所得税法施行令令96条1号では以下のように規定されています。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
確かに「明らかに区分することができる」ことが要件とされていますので、会計税務委託契約に諸々含まれていたとすると上記のような判断もやむを得ないということになりそうです。
もっとも、ここで争われていた会計税務委託料がいくらだったのかといえば、月額31,500円、年間378,000円だったとされていますので、ここまで争うこととなったのは他の要因もあったのではないかと勝手に推測しています。