「法人税。住民税及び事業税等に関する会計基準」が公表されました。
2017年3月16日にASBJから「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号)が公表されました。また、この公表にあわせて、監査保証実務指針第63号「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」および実務対応報告第12号「法人事業税における外形標準課税部分の損益計算書上の表示についての実務上の取扱い」が廃止されました。
上記会計基準の適用時期は「公表日以後適用」(第19項)とされていますので、3月決算会社では、この3月決算から適用開始となります。
もっとも、この会計基準の内容は、監査保証実務指針第63号等の取扱いについて、実質的な内容の変更は意図していないとされていますので、原則的に大きな影響はないということになります。
ただし、規定内容を従来の63号と比較すると、「更生等による追徴及び還付」(第6項)において、追徴可能性が高い場合の取扱いが明記されている点はことなります。第6項では以下のように定められています。
過年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等について、更正等により追加で徴収される可能性が高く、当該追徴税額を合理的に見積ることができる場合、企業会計基準第 24 号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「企業会計基準第24 号」という。)第 4 項(8)に定める誤謬に該当するときを除き、原則として、当該追徴税額を損益に計上する。なお、更正等による追徴に伴う延滞税、加算税、延滞金及び加算金については、当該追徴税額に含めて処理する。
このほか、「法人税。住民税及び事業税等に関する会計基準」をあらためて眺めてみると、「受取利息及び受取配当金等に課せられる源泉所得税」のうち、税額控除の適用を受けない税額は営業外費用として表示するという点が目につきました。
税額控除が選択されていることが多いこと、および税制改正前に保有期間によって税額控除の対象とならない部分も通常重要性が乏しいことから、きちんと意識したことがありませんでしたが、自分で仕訳を計上するとすれば、普通に販管費の租税公課で計上してしまいそうな気はします。なお、基準では、重要性が乏しい場合、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)に含めて表示することができるとされています。
いずれにしても、本来は営業外費用か法人税、住民税及び事業税のいずれかで計上すべきというのが正しい処理ということ改めて気づきました。
誤った思い込みは怖いですね。