エフオーアイの粉飾決算で主幹事証券に賠償責任が認められた判決ー東京地裁
昨年12月に地裁判決が下されたエフオーアイの粉飾決算を巡る裁判についてT&A master No.681で特集が組まれていました。
2016年12月20日付の日経新聞電子版”粉飾決算で主幹事証券に賠償命令 地裁「上場時の審査不十分」 ”では以下のとおり報道されています。
東京証券取引所マザーズに上場していた半導体製造装置メーカー「エフオーアイ」(破産)の粉飾決算で損失を被ったとして、同社の株主約200人が旧経営陣らに損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(谷口安史裁判長)は20日、旧経営陣らに請求通り約1億7500万円の支払いを命じた。上場時の主幹事だったみずほ証券にも、うち約3千万円の賠償を命じた。(一部抜粋)
エフオーアイは2009年11月に東証マザーズに上場したものの、粉飾決算が発覚し約半年後の2010年5月に破産手続きの開始を申し立て、2010年6月に上場廃止となっています。上場直後に業績の下方修正を行うだけでも相当な話題となるわけですが、エフオーアイは業績の下方修正どころか会社自体がわずか半年でなくなるというセンセーショナルな事件でした。
売上高の97%が架空売上であったという粉飾というよりも妄想といった方が適切な会計処理が行われていたという点でも話題となりました。
上場時の粉飾決算の責任が問われる登場人物としては、一般的に取締役、監査役、会計監査人、主幹事証券、証券取引所が考えられます。
まず、会計監査人ですが、同社の会計監査を担当していたのは公認会計士桜友共同事務所でした。これだけ酷い粉飾を看過したわけですので、責任が問われて然るべきでありますが、公認会計士2名とは裁判途中で和解が成立しています。和解の内容については不明です。
次に取締役ですが、「エフオーアイにおいては、平成16年3月期において、決算が大幅な赤字となって銀行融資を受けることができなくなることを防ぐため、役員らが相談の上、架空の売上げを計上することにより、決算書類には売上高が23億2,799万9,328円である旨記載する粉飾決算を行った(実際の売上高は7億1,941万328円であった)」(T&A masetr No.681)とあることからも明らかなように、取締役主導で粉飾が行われたとされていますので、裁判でも責任が認められ損害賠償が命じられるというのは特に違和感はありません。
他の登場人物の責任にいく前の前提情報として、T&A masetrの記事にまとめられていた事件の主な経緯のうちいくつかに触れておきます。