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平成29年3月期決算のポイント-会計(その2)

2017年3月号の会計・監査ジャーナルで取り上げられていた平成29年3月期決算のポイントの残りについてです。

3.平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更、退職給付会計、実務対応報告第18号の改正案のポイント

①平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更

これについては、平成28年6月17日にASBJから「平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第32号)が公表されており、3月決算会社では第1四半期より、会計方針等の変更を記載していることが多いので特に問題はないと思われます。

強いてあげるとすれば、3Qまで対象資産の取得がなく、4Qで平成28年4月1日以後はじめて対象資産を取得した場合に、注記の文言を一部変更する必要があるという点に気をつける必要があります。

②債権の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い

公開草案となっていましたが、本日(平成29年3月29日)に確定しました。なお、適用時期は平成29年3月31日に終了する事業年度から平成30年3月30日に終了する事業年度まで適用するとされています。

長期国債の利回りの推移を確認すると昨年11月位からマイナス圏を脱出している状況にあるので、実際にはあまり問題とはならないと思われますが、結論としては、ゼロを下限としても、マイナスのまま使用してもどちらでもよいという取扱いになっています。

公開草案に寄せられたコメントの中には、マイナスの利回りの場合、それで運用することはないのでゼロを下限とすべきというものもありましたが、マイナス利回りで取引が成立しているわけですし、すべての会社が合理的に行動する保証はないことからすると、あるがままを使うというほうが個人的には理論的な気はしますが、期間限定の取扱いとしてはどちらもOKという取扱いとなっています。

③リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(実務対応報告第33号)

実務対応報告第33号は平成28年12月16日に公表されており、平成29年1月1日以後適用開始となっています。したがって、3月決算会社では、今回の決算から適用となり、該当する制度がある場合には、一定事項の開示が必要となります。

とはいえ、リスク分担企業年金の導入のベースとなる確定給付企業年金法の改正が施行されたのが平成29年1月1日ですので、対象となる制度を導入している会社は皆無ではないかと思われ、現実問題として今回の決算で問題となることはないと推測されます。

④実務対応報告18号の改正

実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」も、公開草案となっていましたが本日付けで公表されました。

改正内容は、国内子会社等が指定国際会計基準又は修正国際基準に準拠した連結財務諸表を作成して金融商品取引法に基づく有価証券報告書により開示している場合に、当該国内子会社等が作成した連結財務諸表を、一定の修正項目を除き、親会社の連結決算手続上利用できるようなったというものです。

よって、ほとんどの会社にとって影響はありません。

なお、原則的な適用時期は平成29年4月1日以後開始する連結会計年度の期首からとされていますが、当実務対応報告の公表日以後早期適用可能とされています。

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