閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

平成29年度税制改正(その1)-法人税関連

これから何回かに分けて平成29年度税制改正の内容を確認していきます。参考にするのは税制改正マップ 平成29年度(あいわ税理士法人 編)です。昨年も利用しましたが、変更前の制度と改正内容がコンパクトにまとまっているので、ざっくりと改正内容を確認したい方にはよい書籍だと思います。

1.中小法人等の軽減税率の特例の適用期限の延長

中小法人等に適用される軽減税率の適用期限が2年延長され、平成31年3月31日までに開始する事業年度までとされました。中小法人等に適用される軽減税率は、一般の法人の場合、年800万円以下の所得について15%(本来19%)となっています。

消費税率の引き上げが平成31年10月に予定されているので、その間、日本の大多数の法人である中小法人等の経営基盤の安定を図ることを目的とするためとのことです。消費税を上げたら上げたで景気等の対策は必要と思われますので、最低でももう一回くらいの延長はありそうです。

2.中小企業向け特例の適用対象法人の見直し

常時使用する従業員数が1000名以上というような一定の場合を除き、資本金1億円以下の中小法人には、税制上様々な優遇制度が認められています。具体的には以下のような措置等が講じられています。

  • 上記1.の軽減税率の適用
  • 試験研究費の税額控除率の上乗せ等
  • 所得拡大促進税制の適用要件の緩和、税額控除限度額の上乗せ等
  • 少額減価償却資産(30万円未満)の損金算入特例
  • 平成29年度税制改正によって、優遇措置の適用要件に、前3事業年度の平均所得金額が年15億円以下であることという要件が加えられました。適用時期は、平成31年4月1日以後に開始する事業年度からとされています。

    所得金額が過去3年平均で15億円ということであると、軽減税率や少額減価償却資産の与える影響は大きくないと思われますが、試験研究費の税額控除率の上乗せや、所得拡大促進税制の適用要件の緩和、税額控除限度額の上乗せ等については、比較的大きな影響があるかもしれませんので注意が必要と思われます。

    3.役員給与の損金算入制度の見直し

    ①定期同額給与
    まず、定期同額給与の範囲に、手取額が同額である場合が加えられました。外国人の役員の場合、手取り金額を保障するということがあり、グロスアップすると額面が同額とならないことがありますが、このような場合も今後は定期同額給与と認められることとなります。

    ②事前確定届出給与
    ・所定の時期に確定した数の株式又は新株予約権を交付する給与が対象に加わるとともに、一定の新株予約権による給与について事前確定の届出が不要とされることとなりました。なお、ここでいう株式及び新株予約権は、市場価格のある株式又はその行使により市場価格のある株式が交付されるもので、役務の提供を受ける法人又はその法人の発行済株式の50%超を直接若しくは間接に保有する法人が発行したものに限られるとされています。

    ・利益その他の指標を基礎として譲渡制限が解除される数が算定される譲渡制限付株式による給与が対象から除外されることとなりました。これにより、パフォーマンスシェア型のリストリクテッド・ストックは損金不算入となります。

    ③業績連動給与
    従来の利益連動給与が業績連動給与とされ、算定指標として株価や利益の状況を示す指標又は株式の市場価格の状況を示す指標と同時に用いられるものに限るという条件はつくものの売上高を用いることができることとなりました。

    また、利益の状況を示す指標(営業利益やEBITDA、ROA、ROEなど)および上記で追加された指標(これらをまとめて業績連動指標という)を基礎として算定される数の株式又は新株予約権を交付する給与で確定した数を限度とするもの及び業績連動指標を基礎として行使できる数が算定される新株予約権による給与が対象に加わっています。

    若干わかりにくいですが、従来は金銭のみが認められていたが、株式や新株予約権を交付することが認められた一方で、確定金額(数)として上限金額(数)を定めることが必要となるということのようです。

    最後に、従来は非同族会社にのみ適用が認められていましたが、同族会社のうち非同族法人との間に完全支配関係がある法人の支給する給与も業績連動給与として認められることとなりました。これにより、上場会社の100%子会社では業績連動給与を活用することが可能となっています。

    ただし、算定方法についてその非同族法人の報酬委員会における決定等の手続きを経てその法人の株主総会又は取締役会において決議し、その非同族法人の有価証券報告書等で開示されることが必要とされています。

    ④退職給与の見直し
    退職給与で利益その他の指標(勤務期間及び既に支給した給与は除く)を基礎として算定されるもののうち業績連動給与の損金算入要件を満たさないものは、その全額が損金不算入とされることとなりました。

    上記の改正は、退職給与にかかる部分及び新株予約権に係る部分は平成29年10月1日以後に支給又は交付に係る決議をする給与に適用し、その他の部分は平成29年4月1日以後に支給又は交付に係る決議をする給与について適用されるとのことです。

    今回はここまでとします。

    関連記事

    1. 節税保険対応の通達改正案が公表

    2. 連結納税(その3)-導入のメリット(税額控除)

    3. 「資本の払い戻し部分」に「利益配当」が含まれる結果となれば政令は…

    4. 顧問契約解除で報酬を請求し税理士が勝訴した事例

    5. 3月決算の貸倒引当金の経過措置は平成27年3月期で終了

    6. 消費税(その2)-個別対応方式と一括比例配分方式




    カテゴリー

    最近の記事

    ブログ統計情報

    • 12,964,863 アクセス
    ページ上部へ戻る