改正決算短信-従来どおりが主流のようです
経営財務3305号で、同誌が実施した改正決算短信に関するアンケート結果が掲載されていました。
調査対象の母数は194社で、うち142社が東証一部の会社からの回答となっています。東証一部の会社が多いとの前提はありますが、改正後の決算短信でも「様式を使用する予定」と回答した会社は97.0%を占めたとのことです。
なお、「自社で工夫した記載を行う予定」と回答した会社は5社にとどまったとのことですが、自分で様式を考えるのも手間なので、とりあえず様式を継続使用するという会社が多くなるのは納得です。
また、「今回の開示要請事項の合理化をどう考えるか?」という質問に対しては「今回の改正で適切な開示量となった」という回答が回答の40%と最も多くなった一方で、「開示要請事項をさらに削減するべき」、「サマリー情報のみ開示し、添付資料は不要にするべき」という回答もそれぞれ28.4%、24.2%あったとのことです。個人的には「サマリー情報のみ開示し、添付資料は不要にするべき」派ですが、これも開示要請事項の更なる削減の一形態ととらえると、もっと開示事項を削減すべきと考えている会社が過半数を占めているということになります。
今回の改正により決算短信は監査対象外であることを明示することとされましたが、「決算短信発表前に監査人による財務数値のチェックはうけない予定」と回答したのは、3社(1.5%)に過ぎなかったとの結果が示されています。大部分は、会社法監査終了前に短信を公表するものの財務数値のチェックは受けることを想定しているようです。
従来から短信が監査対象でないのは同様ですし、短信公表後に決算数値の訂正をしなければならないのを会社が嫌がるのは当たり前なので、余程自信がない限り、監査法人が財務数値を未チェックで開示するというのは行いづらいというのは当然だと思います。監査をする側も、公表済みの短信の数値を訂正するのが嫌だからといって訂正を拒まれるのは望むところではないと思いますので、従来どおりを望んでいるのではないかと思われます。
最後に、今回の改正の目的の一つは開示を簡素化して速報性を高めるということでしたが、「期末後45日以内が適当、30日以内がより望ましい」という現状の取扱いについての回答については、現状維持を望む回答が約9割となっています。むしろ、長時間労働是正の観点から、期限の緩和が望まれるというようなコメントもあったとのことです。
会計士協会からも会長声明として決算に関する業務の在り方についてというような声明(内容はこれといって触れるべきものはない)が出されていますが、現在議論されている残業時間の上限規制が設けられると会計監査も実施が難しかったりする現場は結構あるのではないかという気がします。