業績連動給与引当金は損金算入不可-条文読むととかえって混乱?
T&A master No.689に「”業績連動給与引当金”は損金算入不可」という記事が掲載されていました。
タイトルだけみると、引当金だから損金算入出来なさそうだなと思うのではないかと思いますが、平成29年度税制改正を受けて改正された法人税法施行令69条17項2号では以下のように定められています。
二 損金経理していること(法第三十四条第一項第三号の給与の見込額として損金経理により引当金勘定に繰り入れた金額を取り崩す方法により経理していることを含む。)。
改正前は単に「損金経理していること。」とされていました。上記改正後の条文をみると、損金経理していることが要件で、それには引当金に繰り入れた金額を取り崩す方法により経理していることを含むとされており、会計的な考え方からすれば損金経理というのだから引当金の繰入を意味するのだろうと考えてしまいそうですが、そういうことではないというのが敢えてこの記事が掲載されている趣旨のようです。
結論からすれば、タイトルの通り、引当金計上時には損金算入不可で、引当金を取り崩した時点で損金算入できるという取扱いとなるとのことです。上記の条文からは理解しにくいですが、ポイントは「取り崩す」という文言で、「これは、法人税法上は引当金の算入が認められないことを示している」とのことです。
結果的に算定対象期間の最終事業年度に損金算入されることとなりますが、単に算定対象期間の最終事業年度に損金算入するとすると損金経理しなくてもよいこととなってしまう一方で、会計的には引当金計上されることが想定されることから単に損金経理を要件とすると、前事業年度までに損金経理した場合の取扱いがどうなるのかが明確ではないということでこのような規定の仕方になっているのではないかと思います。
条文を確認してかえって混乱しないように注意です。