PCデポが過年度誤謬の判明と公認会計士の異動を公表
3月決算会社にとって短信開示の期限である45日となった本日最後の決算発表会社はどこだろうと確認してみると、午後9時時点においては、20時45分に決算短信を公表している(株)やまねメディカルが一番最後の開示となっていました(業績も苦しく時間がかかったのもなんとなく理解できます)。
その直前の20時20分に決算短信を含むPCデポの適時開示が複数掲載されていました。そのうちの2つが「過年度の連結財務諸表等に関する誤謬の判明及び平成29年3月期決算短信の発表に関するお知らせ」と「公認会計士等の異動に関するお知らせ」となっています。
まず、公認会計士等の異動について確認すると、新日本有限責任監査法人が退任し、新創監査法人が就任するとされています。なお、退任する監査法人の意見は特にない旨が記載されています。
次に「過年度の連結財務諸表等に関する誤謬の判明」の内容ですが、会社の開示した資料では以下のように記載されています。
平成28年8月に発生した当社プレミアムサービスをめぐる対応により、同会員の解約数が増加したため、平成29年3月に既存の簡易な管理システムから現在の売掛債権管理システムへの切り替えを行いました。これに伴い売掛債権台帳について整備を行いましたが、その仮定で平成29年3月期の売掛債権残高と、会計上認識している売掛債権残高とに差異が生じていたことから、過年度にも遡って売掛債権残高の調査・分析を行いました。
調査・分析の過程において、当社が商品とサービスを一体化させたサービス商品の提供を始めた平成23年3月期まで遡って売掛債権台帳と会計上認識している売掛債権残高を確認したところ、平成29年3月期と同様に、会計上認識している売掛債権残が売掛債権台帳の残高と相違している状況が判明しました。その主な原因は、簡易な管理システムにおいて、一部の解約手続きがシステムデータに反映されない状態であったこと及び事務作業の不徹底等により、解約手続きにおいて一部、売掛金の相殺漏れや売上高の二重計上が発生していたことから、その結果、平成23年3月期以上、両売掛債権残高に差異を生じさせていたことが判明しました。
影響額としては、基本的に売掛金が過大計上になっていたようで、平成23年3月期に31百万円であった差異が、平成25年3月期114百万円、平成27年3月期292百万円、平成28年3月期第2四半期には589百万円となっています。
会社の説明からすると「簡易な管理システム」では残高管理が行われていなかったところ、世間で騒がれた問題が発覚し必要に迫られて、債権管理システムを導入してみたら過年度の間違いが発覚したということのようです。おそらく「管理な管理システム」ではフローを処理するだけで、残高管理は会計側で行っていて、照合するものがないので間違いに気づかないということでしょう。
もっとも、残高確認等によってもう少し早く気づかないものかなという気はしますが、間違い始めた平成23年3月期の売掛金残高が約25億円(訂正前)に対して訂正額が31百万円、平成28年3月期の売掛金(訂正前)が約137億円で、誤りが4.5億円なので全体に占める割合はそれほど大きくなく、細かい誤りの累積だとするとたまたま発覚しないという可能性も考えられなくはありません。
それにしても、あらためて売掛金の推移を見てみると平成23年3月期の約25億円が、5年後の平成28年3月期には約132億円(訂正後)になっており、すごい勢いで増加していることがわかります。
平成29年3月期の業績は、営業利益は約34億円を確保していますが、前年比17.9%減となっており、来期の業績予想においても売上はほぼ同水準予想となっていますが、営業利益は28.4%減の24.2億円と、利益は確保する見込みも環境は厳しめのようです。
会社が監査法人の交代を望んだのか、監査法人が監査を継続しないと言ったのかは定かではありませんが、大手から交代すると監査報酬がどれくらい変わるのかにも注目です。
なお、過年度の有価証券報告書の提出は5月中に行うとされています。