閉じる
閉じる
閉じる
  1. 改正民法(その3)・・・危険負担
  2. 2018年12月期決算会社-改正税効果基準早期適用は15社
  3. 2019年3月期の決算発表日はどうなっている?
  4. 節税保険対応の通達改正案が公表
  5. 会計監査人の継続監査年数を最大10年と定めた会社の事例
  6. 2015年にマザーズに上場した会社の株主総利回りを試しに10社計算して…
  7. 地方法人税の還付請求失念に要注意
  8. 四半期レビュー報告書等の記載内容が改訂へ
  9. 改正民法(その2)-解除
  10. MTGが中国の新EC法の影響により大幅に下方修正
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

外貨建預金を原資とした株式等購入時の為替差損益申告漏れが散見

税務通信3469号の税務の動向に「外貨建預金を原資とした株式等購入は為替差損益を認識」という記事が掲載されていました。

この記事では、「外貨建預金を払い出して株式等を購入した場合、株式等の購入価額の円換算額とその購入に充てた外国通貨を取得した時の為替レートにより円換算した金額との差額(為替差損益)を所得として認識する必要がある」ところ、「現行の法令では明確な規定がないことなどから」実務上、申告不要であると誤認し、申告漏れが生じているケースが散見され、税務調査で指摘されたケースもあるとされています。

所得税法上、上記の取扱いについては「現行の法令では明確な規定がない」という点が意外でしたが、原則論としては、所得税法57条の3第1項において、居住者が外貨建取引を行った場合には、その外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額により、各年分の各種所得の金額を計算するものとされています。

税務通信の記事でも、この条文を根拠に「つまり、外貨建取引を行った場合には、取引の都度、為替換算を行い為替差損益を認識する。」とされていますので、「現行の法令では明確な規定がない」ということよりも、法人や個人事業のように帳簿が整備されていない個人の投資では、為替差損益を事後的に把握するのが面倒だからというのが実態ではないかと思われます。

誤解を生じるとすれば、国税庁の質疑応答事例に掲載されている「外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い」という事例を拡大解釈しているという可能性は考えられます。この事例の概要は以下のとおりです。

【照会要旨】
 A銀行に米ドル建で預け入れていた定期預金(以下「本件預金」といいます。)1万ドルが満期となったため、満期日に全額を払い出し、同日、本件預金の元本部分1万ドルをB銀行に預け入れました。この場合、B銀行に預け入れた時点で本件預金の元本部分に係る為替差益を所得として認識する必要はありますか。
 (以下省略)
 
【回答要旨】
 為替差益を認識する必要はありません。
 (中略)
 ただし、外国通貨で表示された預貯金を受け入れる金融機関を相手方とする当該預貯金に関する契約に基づき預入が行われる当該預貯金の元本に係る金銭により引き続き同一の金融機関に同一の外国通貨で行われる預貯金の預入は、上記の外貨建取引には該当しないものとされています(所得税法施行令第167条の6第2項)。
 したがって、外貨建預貯金として預け入れていた元本部分の金銭につき、①同一の金融機関に、②同一の外国通貨で、③継続して預け入れる場合の預貯金の預入については、外貨建取引に該当しないこととされていますので、その元本部分に係る為替差損益が認識されることはありません。
 (以下省略)

 
上記の質疑応答事例は、外貨建定期預金が満期で外貨建普通預金になっただけで、実質的には外国通貨を保有し続けている場合と変わりがないため例外的に為替差損益の認識を不要としているものであるため、外貨建預金使用して外貨建株式を購入した場合にも同じように考えることはできません。

一方で、質疑応答事例には「預け入れていた外貨建預貯金を払い出して貸付用の建物を購入した場合の為替差損益の取扱い」というものも掲載されています。

こちらは、預金から建物と投資対象の性質が大きく異なる場合の事例となっていますが、この場合は以下の理由から「為替差益を所得として認識する必要があります」という回答になっています。

外貨建の預金をもって貸付用の建物を外貨建取引により購入した場合には、新たな経済的価値(その購入時点における評価額)を持った資産が外部から流入したことにより、それまでは評価差額にすぎなかった為替差損益に相当するものが所得税法第36条《収入金額》の収入すべき金額として実現したものと考えられますので、当該建物の購入価額の円換算額とその購入に充てた外国通貨を取得した時の為替レートにより円換算した金額との差額(為替差損益)を所得として認識する必要があります。
(回答要旨 一部抜粋)

投資対象の性質が大きく異なるので、それまでの為替差益が一度実現したものとして取り扱われるということです。

会計的な視点からすると、やや酷に感じるのは、同じく質疑応答事例に掲載されている「預け入れていた外貨建預貯金を払い出して外貨建MMFに投資した場合の為替差損益の取扱い」です。

「米ドル建で預け入れていた預金10万ドルを払い出し、その全額を外貨建MMF(米ドル建公社債投資信託)に投資しました。この場合、その外貨建MMFに投資を行った時点で預金に係る為替差益を所得として認識する必要はありますか。」という照会に対し、「為替差益を所得として認識する必要があります。」という回答になっています。

外貨建MMFも有価証券であり、株式と同様と言えば同様ですが、一方で、会計上の括りでは現金同等物扱いであり、また、実際の利用形態としても外貨建預金の代替として使用されているものでもあります。どこかで明確な線を引くという意味では、質疑応答事例の回答も理解できますが、実態には即していないように感じます。

そういった意味では、会計頭の人にとっては外貨建MMFのほうが要注意かも知れません。

関連記事

  1. 特定支出控除適用者が急増したそうです

  2. 年末調整の対象となる人・ならない人

  3. 配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額等の改正(平成30年分より)…

  4. ハズレ馬券が経費として認められました-大阪地裁判決

  5. 海外出向者に関わる税務(その1)

  6. 更生手続等により取得した優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

カテゴリー



ブログ統計情報

  • 7,800,845 アクセス
ページ上部へ戻る