不正会計発覚経緯は会計監査が最多らしいですが・・・
経営財務3321号のニュースに”「不正会計等の発覚経緯」会計監査が約3割”という記事が掲載されていました。
これは、同誌が2014年7月以降の約3年間に「適時開示ニュース」欄に掲載した事例のうち、会社側が「不適切な会計処理」、「不適切な開示」、「子会社の不正会計」等の表題で開示した事例のうち,決算修正を行うなど財務諸表の数値に影響を及ぼした82社86件の事例を集計したものです。
まず、市場別の件数は以下のとおりとされています。
東証一部 44社
東証二部 11社
JASDAQ 17社
マザーズ 8社
その他 2社
東芝などの大きな粉飾が話題となるものの、不正会計の数でいえば新興市場の企業の方が多いようなイメージですが、絶対数では東証一部が全体の53.7%と過半数と占めています。
しかしながら、各市場の上場企業数が異なるので、直近の市場別の上場企業数を使用して、上記の発生割合を計算してみると以下のようになりました。
東証一部 2.17%
東証二部 2.09%
JASDAQ 2.26%
マザーズ 3.34%
割合で見てみるとマザーズ上場企業での不正会計の発生割合が最も高くなっており、ある意味イメージどおりの結果となっています。とはいえ、マザーズ上場企業の数が他の他の市場の上場企業数に対して少ない(次に多い東証二部の半分以下)ことを考えると、誤差の範囲とも考えられ、市場にかかわらず全体的に2%~3%程度の割合で不正会計が発生すると考えてよいのではないかと思います。
なお、上記82社のうち、上場廃止となったのは8社で、内訳はJASDAQ4社、マザーズ2社、東証二部、セントレックス各1社となっています。
業種別には製造業が35社(42.7%)と最多で、商業18社(22%)、運輸・情報通信業11社(13.4%)と続いているとのことです。東芝、富士フイルム、オリンパスと大きな話題となった事例をあらためて考えてみると製造業が多いというのも納得ですが、イメージとしては情報通信業が多いと思っていたので、この結果は少々意外な感じがしました。
そして、不正がどのような経緯で発覚したのかについては、「会計監査人(監査法人)による指摘」が24件(27.9%)で最多だったとされています。タイムリーに発見できているわけではないことも考えると、感覚的には決して高い割合ではないものの、「内部通報・内部調査」19件(22.1%)を上回っており、まずまずの結果と考えてよさそうです。
最後に不正の発生は、海外や子会社で発生している事例が33件(38.4%)と大きくなっているとのことで、”「誰かが子会社をモニタリングしないといいけない」状況だが、「モニタリングをするのが本社なのか、子会社の監査役なのか、難しい問題でもある」との指摘もある”とされています。
上記「内部通報・内部調査」に監査役の監査は含まれていないと思われるので、そういった意味で「子会社の監査役」監査で不正が発覚するという可能性は低いように思われます。本社の管理がきつくなると子会社のやる気がそがれるので、マイクロマネジメントにならないように注意する必要はありますが、本社としても子会社に任せていますと開き直ることも難しいように思いますので、本社への報告事項の見直しやグループ会社への内部監査、内部通報の周知徹底などで対応することになるのではないかと考えられます。