富士フイルムがゼロックスを買収するのは世界展開が目的?
2018年1月31日に富士フイルムホールディングスが米ゼロックスを買収すると発表しました。
複合機でゼロックス製品を使用している会社は多いと思いますが、日本でゼロックスといえば富士ゼロックス製品のことで、富士ゼロックスは富士フイルムホールディングスの子会社となっています。
日経新聞で報道によると、「まず富士ゼロックスが金融機関から約6700億円を借り入れる。その資金を元手に、富士フイルムHDが持つ全自社株の75%を取得、ゼロックスの完全子会社になる。その後、富士フイルムHDがゼロックスの第三者割当増資を約6700億円で引き受け、ゼロックスに50.1%を出資する。」とのことです。
富士ゼロックスに対する持分だけでみると、従来の75%から50.1%へ低下することとなりますが、従来は「事務機の知的財産を押さえる米ゼロックスが出資比率以上の存在感を持ち、富士ゼロックスを影響下に置いていた」とされ、「経営体制の変更により、富士フイルムHDが初めて事務機事業を完全に主導することになる。」とのことです。
富士ゼロックスの会計処理の問題が発覚したのは記憶に新しく、その際の報道では「富士フイルムHDは、グループ内の稼ぎ頭として躍進を遂げる富士ゼロックスを異例とも呼べる特別扱いで配慮。子会社の管理規定すら適用していなかった。」(IT Mediaオンライン)というようなものもありましたが、日経新聞の記事からすると米ゼロックスの影響力もあり、親会社として十分に影響力を行使できなかっただけなのかもしれません。
「富士ゼロックスが日本を含むアジア・太平洋地域、米ゼロックスが欧米を含むそれ以外の地域と商圏を分けていた」ものが買収後はその制約がなくなるとされていますが、アジア太平洋地域と欧米の今後の経済成長を勘案すれば、アジア・太平洋地域を押さえていた方が伸びしろがあるように思われます。
会計処理の問題が発覚してから1年もたっていないことからすると、それ以前から交渉されていたのかなという気はしますが、世界展開へ主導権を握ることが目的というのは単なる建前のように感じられます。
書類の電子化が進んでいる中で、高額な複合機の需要は減少していくというのは避けられないところだと思いますが、米ゼロックスを買収し、新たな価値をユーザに提供してくれることを期待したいと思います。