宿泊予約サイトへの掲載手数料で消費税の誤りが散見されているそうです
税務通信3517号の税務の動向に「海外サイトへの掲載手数料等に係る消費税の誤り散見」という記事が掲載されていました。
タイトルのとおりの内容なのですが、「インターネット広告や宿泊棟の予約サイトへの施設情報の掲載など、海外のサイト運営会社に対して支払った掲載手数料等について、日本の消費税の課税対象ではないにもかかわらず、誤って仕入れ税額控除を行っているケースが散見される」とのことです。
上記のようなサービスは事業者向けの電気通信利用役務の提供として、リバースチャージ方式の対象となりますが、課税売上割合が95%以上の場合は、特定課税仕入(本来リバースチャージが適用される取引)があっても、消費税の計算上はなかったものと取り扱うとされています。
誤った処理を行っている会社の多くは、「国内・国外を問わず複数のサイトの運営会社と取引をしており、消費税の処理をするうえでその取引先が国内事業者か否かを確認せずに、全てを控除の対象としていたようだ」とされています。
確かに運営会社が海外の事業者の予約サイトであっても、日本語でサイトが表示されて予約もできるので、国内の事業者と取引しているのではないかと思ってしまうというのもわからなくありません。
例えばExpediaであれば、ユーザーがアクセスするのは「www.expedia.co.jp」という日本のドメインですが、同社の会社概要には以下のように記載がなされており、運営会社はシンガポールの法人となっています。
本ウェブサイトを管理している AAE Travel Pte Ltd (以下「AAE Travel」といいます) はシンガポールの企業 (UEN 201113337M) であり、登録住所は 8 Marina Boulevard #05-02, Marina Bay Financial Centre Tower 1, Singapore 018981 です。AAE Travel は、世界をリードするオンライン旅行会社 Expedia Inc. と優良格安航空会社エアアジアの合弁会社です。シンガポールを本拠地とする AAE Travel は、アジア圏でのエクスペディアの事業を運営しています (中国を除く)。
掲載手数料を別途支払っているような場合で、支払先が海外の金融機関であれば、国外事業社との取引だと気づくかもしれませんが、サイトの運営者が宿泊代金を(カード決済等で)受領して、手数料を差し引いてホテル等に支払ってくるような場合だと、相手が国内事業社なのか国外事業社なのかを意識しなくなるというのも理解できます。
上記のように掲載手数料をネットした金額で課税売上を計上しているような場合には、税務調査で指摘されるまで気づかないという可能性が相対的に高いと考えられます。
関係する場合は、改めてチェックしたほうがよいかもしれません。