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企業内容等開示府令の改正を確認(その1)

数日前に”企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(平成31年内閣府令第3号)を確認“で、企業内容等開示府令が改正され、一部の事項については19年3月期の有価証券報告書から適用されることとなる旨記載しました。これに関連して、T&A master No.774とNo.775の「金融庁の考え方から読む企業内容等開示府令(上)、(下)」で実務上の留意点がQ&A形式で解説されていました。

1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等の改正について

今回の改正によって第二号様式記載上の注意(30)aが以下の様に改正されています。

(30) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
a 最近日現在における連結会社(連結財務諸表を作成していない場合には提出会社。以下(30)、(31)a、(33)a、(37)及び(56)d において同じ。)の経営方針・経営戦略等の内容を記載すること。記載に当たっては、連結会社の経営環境(例えば、企業構造、事業を行う市場の状況、競合他社との競争優位性、主要製品・サービスの内容、顧客基盤、販売網等)についての経営者の認識の説明を含め、(27)aの規定により記載した事業の内容と関連付けて記載すること。また、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等がある場合には、その内容を記載すること。
(以下省略)

上記で。経営環境の内容について、「企業構造、事業を行う市場の状況、競合他社との競争優位性、主要製品・サービスの内容、顧客基盤、販売網等」が記載されていますが、「例えば」とされているとおり例示にすぎず、これら全てについて触れる必要はなく、各社が実情に応じて工夫して記載すればよいとのことです。

また、「経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」については、「目標の達成度合いを測定する指標、算出方法、なぜその目標を利用するのかについての説明等を記載することが考えられる」と述べられています。経営計画等の具体的な目標数値を記載することも妨げられないとされていますが、「有価証券報告書提出日現在における事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものを記載すべき」とされています。

2.事業等のリスクについて

事業等のリスクについては記載上の注意(31)a,bが以下の様に改正されています。

(31) 事業等のリスク
a 届出書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下a及び(32)において「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク(連結会社の経営成績等の状況の異常な変動、特定の取引先・製品・技術等への依存、特有の法的規制・取引慣行・経営方針、重要な訴訟事件等の発生、役員・大株主・関係会社等に関する重要事項等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項をいう。以下aにおいて同じ。)について、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容、当該リスクへの対応策を記載するなど、具体的に記載すること。記載に当たっては、リスクの重要性や経営方針・経営戦略等との関連性の程度を考慮して、分かりやすく記載すること。
b 提出会社が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象(以下bにおいて「重要事象等」という。)が存在する場合には、その旨及びその具体的な内容を分かりやすく記載すること。また、当該重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策を具体的に、かつ、分かりやすく記載すること。

事業等のリスクについては、「リスクの発生可能性や企業への潜在的影響の大きさの観点から、企業の成長、業績、財政状態、将来の見込について重要であると経営陣が考えるものに限定するとともに、企業に固有でない一般的なリスクを記載する場合には、具体的にどのような影響が当該企業に見込まれるのか明らかにすることが求められる」とされています。

従来は、後で訴えられても困るので、発生可能性は低いと思いつつも、とりあえず考えられそうなリスクを書いておこうというようなケースもあったと認識していますが、そのような記載は見直しが必要になるということになりそうです。

なお、リスクが顕在化する可能性が低いと判断して事業等のリスクに記載していなかった場合に、その後の事情変化によってリスクが顕在化してしまっても虚偽記載の責任には問われないとのことです。ただし、「提出日現在において経営者が企業の経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを敢えて記載しなかった場合、協議記載に該当することがあり得ることになる」とのことです。

3.監査の状況について

記載上の注意「(56)監査の状況」に以下が追加されています。結構なボリュームではありますが、原文は以下のとおりです。

(56) 監査の状況 (56) コーポレート・ガバナンスの状況
a 監査役監査の状況について、次のとおり記載すること。
(a) 監査役監査の組織、人員(財務及び会計に関する相当程度の知見を有する監査役、監査等委員又は監査委員が含まれる場合には、その内容を含む。)及び手続について、具体的に、かつ、分かりやすく記載すること。
(b) 最近事業年度における提出会社の監査役及び監査役会(監査等委員会設置会社にあっては提出会社の監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては提出会社の監査委員会をいう。dにおいて同じ。)の活動状況(開催頻度、主な検討事項、個々の監査役の出席状況及び常勤の監査役の活動等)を記載すること。
b 提出会社が上場会社等である場合には、内部監査の状況等について、次のとおり記載すること。
(a)内部監査の組織、人員及び手続について、具体的に、かつ、分かりやすく記載すること。
(b)内部監査、監査役監査及び会計監査の相互連携並びにこれらの監査と内部統制部門との関係について、具体的に、かつ、分かりやすく記載すること。
c 提出会社が上場会社等以外の者である場合には、内部監査の状況等について、次のとおり記載すること。
(a)内部監査の組織、人員及び手続について、具体的に、かつ、分かりやすく記載すること。
(b)内部監査、監査役監査及び会計監査の相互連携について、具体的に、かつ、分かりやすく記載すること。
d 会計監査の状況について、次のとおり記載すること。
(a)提出会社の監査公認会計士等(第 19 条第2項第9号の4に規定する監査公認会計士等をいう。以下この様式及び第二号の五様式において同じ。)が監査法人である場合には、当該監査法人に係る次に掲げる事項を記載すること。
ⅰ 当該監査法人の名称
ⅱ 提出会社の財務書類について連続して監査関連業務(公認会計士法第 24 条の3第3項に規定する監査関連業務をいう。)を行っている場合におけるその期間( において「継続監査期間」という。)
ⅲ 業務を執行した公認会計士(公認会計士法第 16 条の2第5項に規定する外国公認会計士を含
む。以下同じ。)の氏名
ⅳ 監査業務に係る補助者の構成
(b )提出会社の監査公認会計士等が公認会計士である場合には、当該公認会計士の氏名、監査業務に係る補助者の構成及び監査証明の審査体制について記載すること。また、業務を執行した公認会計士の継続監査期間が7会計期間を超える場合にあっては、当該継続監査期間を記載すること。
(c)提出会社が(a)又は(b)の規定により記載した監査公認会計士等を選定した理由について、提出会社が監査公認会計士等を選定するに当たって考慮するものとしている方針(会社法施行規則第 126 条第4号に掲げる事項を含む。)を含めて具体的に記載すること。なお、提出会社が最近事業年度の末日において会社法第2条第 11 号に規定する会計監査人設置会社であり、かつ、当該監査公認会計士等が会計監査人と同一の者である場合において、同令第 126 条第5号又は第6号に掲げる事項を事業報告に含めた、又は含めるべきときには、当該事項の内容を記載した上で、当該監査公認会計士等を選定した理由を記載すること。
(d)最近2連結会計年度等(連結財務諸表を作成していない場合には最近2事業年度等)において監査公認会計士等の異動(第 19 条第2項第9号の4に規定する異動をいう。以下この様式及び第二号の五様式において同じ。)があった場合には、その旨を記載すること。なお、当該異動について同号の規定に基づいて臨時報告書を提出した場合には、当該臨時報告書に記載した事項(同号ハ から までに掲げる事項については、その概要)も記載すること。
(e)提出会社の監査役及び監査役会が提出会社の監査公認会計士等又は会計監査人の評価を行った場合には、その旨及びその内容を記載すること。
(f)監査報酬の内容等について、次のとおり記載すること。
ⅰ 最近2連結会計年度(連結財務諸表を作成していない場合には最近2事業年度。以下この様式において同じ。)において、提出会社及び提出会社の連結子会社がそれぞれ監査公認会計士等に対して支払った、又は支払うべき報酬について、監査証明業務(公認会計士法第2条第1項に規定する業務をいう。以下この様式及び第二号の五様式において同じ。)に基づく報酬とそれ以外の業務(以下ⅰ、ⅱ及び第二号の五様式において「非監査業務」という。)に基づく報酬に区分して記載すること。この場合において、非監査業務に基づく報酬を記載したときは、当該非監査業務の内容を記載すること。
ⅱ 最近2連結会計年度において、提出会社及び提出会社の連結子会社がそれぞれ監査公認会計士等と同一のネットワーク(共通の名称を用いるなどして2以上の国においてその業務を行う公認会計士又は監査法人及び外国監査事務所等(外国の法令に準拠し、外国において、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする者をいう。)を含めて構成される組織をいう。)に属する者に対して支払った、又は支払うべき報酬について、監査証明業務に基づく報酬と非監査業務に基づく報酬に区分して記載すること(ただし、ⅰの規定により記載する報酬の内容及び連結会社の監査報酬等の内容として重要性の乏しい報酬の内容を除く。)。この場合において、非監査業務に基づく報酬を記載したときは、当該非監査業務の内容を記載すること。
ⅲ ⅰ及びⅱの規定により記載する報酬の内容のほか、最近2連結会計年度において、連結会社の監査証明業務に基づく報酬として重要な報酬がある場合には、その内容について、具体的に、かつ、分かりやすく記載すること。
ⅳ 提出会社が監査公認会計士等に対する報酬の額の決定に関する方針を定めているときは、当該方針の概要を記載すること。
ⅴ 提出会社が最近事業年度の末日において会社法第2条第 11 号に規定する会計監査人設置会社である場合には、監査役会が同法第 399条第1項の同意をした理由を記載すること。

監査法人等の監査に関連する部分が多いですが、監査役についても「活動状況(開催頻度、主な検討事項、個々の監査役の出席状況及び常勤の監査役の活動等)」の記載が求められており、有報を作成する上で監査役から「主な検討事項」が何かを聞く必要があるということになります。また、「常勤の監査役の活動等」となっていますが、「非常勤のものも含めて記載される必要がある」とされています。

今回はここまでとします。

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