テレワーク長期化でも原則的な勤務地が会社なら通勤手当は非課税
少し前に”出勤0日の非課税通勤手当の取扱いは“で、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを実施したことにより実際に通勤した日数が0日となってしまった場合の通勤手当の取扱いについて、税務通信3608号のショウ・ウインドウ「コロナ禍のテレワークと非課税定期代」に掲載されていた事項を取り上げました。
その続報として、税務通信3614号の税務の動向に「通勤手当 テレワーク長期化でも基本は非課税」という記事が掲載されていました。
結論としては、「コロナ禍においては、結果的に、従業員らの通勤しない期間が長期化した場合等でも、会社が、通勤手当を支給することに合理性があると判断していれば、非課税として取り扱って問題ない」とされています。
通勤手当の非課税判定においては、通勤手当を支給した従業員らが、結果的に、通勤したの通勤しなかったという実績は関係ないとされ、運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路等で通勤した場合の定期券等の金額であれば、「テレワークの実施期間が長期化したとしても、従業員らの出社の可能性を踏まえた上で、一定の合理性をもって支給する通勤手当であれば、基本的に、非課税として取り扱って問題ないわけだ」と述べられています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえ、会社側もテレワークの実施期間等を検討してきたという状況をふまえ、「後の税務調査において、従業員らの通勤回数が僅少であることや、その期間が長期間にわたることなどを理由に、通勤手当を給与課税の対象とする指摘を行うことは想定されていないという」とのことです。
以上から、基本的にテレワークが長期化しても基本的に通勤手当は非課税の取扱いでよいということになりますが、テレワークが原則という場合には、「勤務地が自宅となり、通勤自体が不要となるため、非課税となる通勤手当として不合理と判断されることもあろう」とされているので注意が必要です。
「原則テレワーク」というと、まだそれほど多くの会社が導入しているというわけではないと思いますが、「できるだけテレワークを推奨している」というような表現はそこそも耳にします。「原則テレワーク」と「できるだけテレワークを推奨している」というのは、言っている側からするとそれほど意味に違いはないのではないかと感じることもあるので、今後恒常的に「できるだけテレワークを推奨」するというケースにおいて、通勤手当を支給する場合には、取扱いを検討する必要があると考えられます。
テレワークの実施が一時的なのか恒常的な制度なのかを踏まえた上で、恒常的な制度で、かつ、実際の出勤日数が少なくなりそうな場合は、交通費を実費精算するというのが無難ということにあるのではないかと考えられます。