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コロナ禍で役員給与長期未払も即、定期同額給与否定とはならず

上場企業の適時開示では、役員報酬の減額とか自主返上という事例は数多く見かけましたが、非上場企業であれば、とりあえず役員報酬の支払だけ後回しにして様子を見たいというケースもあるかもしれません。

経理処理上、毎月定額で役員報酬を未払計上しておき、資金繰りが落ち着いてから支払をしても、定期同額給与として取り扱われるのだろうかというのが問題となります。

この点が、税務通信3616号の税務の動向で取り上げられていました。

結論としては、”資金繰り悪化等のやむを得ない事情によるものであれば、未払期間にかかわらず定期同額給与の要件を満たす“というものです。これは、法人税法上、役員給与の「支給」とは、現実の支払を意味するものでなく、債務の確定を意味するものと解されており、未払いであっても支給時期が到来していれば要件を満たすとのことです。

ただし、あくまで資金繰り悪化等のやむを得ない事情によって、本来支払うべき時期に支払えないような場合に限られ、そのような事由がないにもかかわらず、定期給与の一部を未払金として積み立てておいて、その分を後でまとめて支払うというようなケースは認められないとのことです。

国税不服審判所の裁決にも「役員給与の一部の金額を未払金に計上した上、従業員に対する賞与の支給時期に支払った場合、当該金員は役員賞与に該当するとした事例」(平成元年6月7日裁決)があるとのことです。

国税不服審判所のサイトで確認してみたところ、「裁決事例集 No.37 – 174頁」として以下のように記載されていました。

役員に支給された給与が報酬となるか、賞与となるかは、実際に支給された給与が定期的な給与か、臨時的な給与かという支給形態ないし外形によって判断すべきところ、[1]本件役員報酬について、あらかじめ定められた支給基準に基づいて定時にその全額を支払うことができないとする特段の事情もないこと、[2]毎月の役員報酬の一部を未払金とし、その額をおおむね盆、暮れの従業員に対する賞与の支給期に支払っていること、[3]賞与の支給期に支払った金額は、未払金残高を超える金額であることから、未払金勘定に赤字が生じているが、当該赤字の金額を各事業年度の期末においては、その残高がちょうど零円となるように、その後の当該役員報酬の未払金で補てんしていること等から判断すると、当該未払金は、当初から役員賞与として支給すべきものを形式的に定期の給与にしたものにすぎない。

たしかに特段の事情もなく長期に未払計上を認めるとすると、事後的に毎月の報酬が一定となるように経理処理を修正し、その一部を未払にすることで、実質的な役員賞与を定期同額給与とできてしまうことになりかねませんので、普通の状態で長期未払の状態が継続しているというようなケースでは税務調査で否認されると考えた方がよさそうです。

上記の通り、特段の事情があれば、結果的に役員給与が長期にわたり未払計上されることとなった場合であっても、基本的に定期同額性が否定されることとはならないわけですが、未払のままであったとしても個人の所得税の問題はあるので、それも考慮して減額するのか、長期未払を選択するのかを検討する必要があると考えられます。

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