基本手当(雇用保険)の給付制限期間の短縮(2020年10月1日以降離職者より)
今さらですが、2020年10月1日以降の離職者から給付制限期間が2か月に短縮されるということに気づきました。
2020年3月31日に公布された「雇用保険法等の一部を改正する法律」により、失業等給付に関する被保険者期間の算定の見直しをはじめ、多くの改正が行われており、2020年4月1日から2024年4月1日にかけて段階的に施行されることとなっています。
雇用保険法の主な改正については、”雇用保険法の改正を確認(2020年改正)”で確認しましたが、この「給付制限期間」の改正は、雇用保険法の改正ではなく、業務取扱要領の改正で行われるそうで、雇用保険法の改正をフォローした中には含まれていない内容でした。
この改正は、2020年10月1日以降の離職者から適用されることとなっています。
失業等給付のうち基本手当(俗に「失業手当」といわれているもの)は、会社都合による解雇等の正当な理由無く自己都合により退職した場合、待期期間(7日間)の満了後3か月は支給されないという給付制限期間が設けられていますが、今回の改正により、この給付制限期間が、5年間のうち2回までの離職については2か月に短縮されることとされることとなっています。3回目以降の離職については、その離職から遡って5年間に2回以上の自己都合による離職がなければ給付制限期間は2か月、2回以上の自己都合による離職がある場合には3か月とされます。
基本的な考え方は上記のとおりですが、「給付制限期間」2か月か3か月かの判断に用いられる自己都合による退職回数のカウントは、2020年10月1日以降の退職のみ考慮されます。
例えば2020年10月1日に正当な理由無く自己都合により退職した場合、5年間にすでに2回自己都合による離職がある場合であっても、給付制限期間は2か月ということになります。2020年9月30日までの離職については、自己都合による退職により基本手当を受給していたとしても、原則通り給付制限期間3か月の制限を受けた上でのものですので、給付制限期間の短縮の判定に含める必要はないということだと考えられます。
逆に言うと、2020年9月30日に自己都合により離職した方の給付制限期間は3か月となり、2020年10月1日以降2か月を経過した時点で給付制限期間が満了となるわけではないという点に注意が必要です。
厚生労働省が公表している”「給付制限期間」が2か月に短縮されます~令和2年10月1日から適用~”には、以下三つのケースが図示されています。
自己都合で離職した場合には、給付制限期間を設けるという発想は理解できますが、基本手当を受給するにしても一定の受給資格を満たす必要があること、そもそも保険料を支払っているという前提をふまえると、3年間で初回は給付制限なし、5年間で2回までは2か月、それ以上は3か月というくらいでもよいのではないかと個人的には思いますので、さらなる改正を期待します。