総額表示義務特例が今年度末で期限切れ
消費税の転嫁対策特別措置法が今年度末で適用期限を迎えます。個人的にほとんど関係しないためすっかり記憶から抜け落ちていましたが、このまま延長されないと「総額表示義務の特例」も消滅することとなります。
「総額表示義務の特例」とは、本来消費税込みの総額の金額を表示しなければならないところ、円滑な税の転嫁や値札の変更のための事務負担などに配慮し、「外税表示」「税抜き価格強調表示」も認めるとする特例です。これにより、「○○円(税抜)」、「○○円+消費税」、「○○円+○円(消費税)」などという表示も期限内は許容されるということになります。
2013年10月1日以降認められていたものですので、事務負担面では表示方法を原則通り総額表示にするための期間としては十分だと考えられる一方、消費税が10%に引き上げられたのが2019年10月からですので、「円滑な税の転嫁」という面では、特例を延長することも検討に値すると考えられます。
T&A master No.850の記事によると、「総額表示義務の特例」の恒久化を求める声が、比較的中堅・小規模の小売業から上がっている」とされていますが、同誌の取材によると、「政府は適用期限を延長をしない方向で検討している」とのことです。
「百貨店業界などは、転嫁対策特措法の廃止を見込み、粛々とタグの付け替えに向けた作業を進める方針だが、スーパーなどの小売業者から構成される日本チェーンストア協会は、税抜価格表示の恒久化を求める税制改正要望を9月10日付で出している」とされています。
今年度末で期限切れとなることはわかっていたこととはいえ、コロナ禍において地道な値札の付け替え作業を行うのは厳しいという面はあるので、最終的に原則通り消滅するとしても、今回は1年延長されるのではないかという気はしますが、それを期待して延長されなかった場合に困ったこととなるので、関係する会社は早めに対策を講じる必要がありそうです。