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ESG指標に連動するPSUの一部を損金算入した事例

数日前の朝日新聞DIGITALに「日本生命と第一生命、全資産をESGの評価軸で運用」という記事が掲載されていましたが、ESGという観点が機関投資家の投資に与える影響が大きくなっています。

ESGに関連し、T&A master No.855に「ESG指標に連動するPSUの一部を損金に」という記事が掲載されていました。

パフォーマンス・シェア(業績連動型株式報酬)は、業績目標等の達成度合いによって交付株式数が変動するためインセンティブとしての効果は高いですが、パフォーマンス・シェア(事前交付型)は法人税法上損金算入が認められません。

一方、事後交付型のパフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)は、法人税法上の「業績連動給与」に該当し、開示要件等の要件を満たすことができれば損金算入することが可能とされています。

業績連動給与として損金算入するためには、業績評価指標が、利益、株価、売上のいずれかの指標に関連するものでなければならないところ、大手ハウスメーカーが2020年4月に開催された定時株主総会に付議したPSUでは、業績評価指標にESG経営指標が含まれているものの一部を損金算入した模様とのことです。

この会社の場合、PSUはESG関連指標に加えROEを業績評価指標としており、ESG関連の定性評価部分とROEによる定量評価部分を分離し、ROEに関連する部分についてのみ損金算入した模様とされています。

確認したところ株主総会の招集通知では以下の様に記載されていました。

①当社は、業績連動型株式報酬制度において使用する業績評価指標(初回の評価期間においては、ROE及びESG経営指標を予定する。)の目標及び達成状況の評価、ならびに、各対象取締役に交付する当社株式の数及び金銭報酬債権等の算定にあたって必要となる指標等を人事・報酬諮問委員会にて審議の上、その意見を尊重し、当社取締役会にて決定します。

有価証券報告書では「業務執行取締役の報酬体系及びインセンティブ報酬の仕組みの概要」としてPSUの業績評価指標である「ROE及びESG経営指標」の概要として以下のとおり記載されていました。

業務執行取締役の役位別に予め定めた基準額に相当する数の基準株式ユニットを付与し、2021年1月期から2023年1月期までの連続する3事業年度の評価期間におけるROE及びESG経営指標の目標達成度に応じて、評価期間終了時において0%~150%の範囲内で支給ユニット数を決定し、当該支給ユニット数の50%を株式にて交付、残りを納税目的金銭として支給します。
ROEとESG評価指標の各評価ウエイトはROE連動部分80%:ESG経営指標連動部分20%とし、ESG経営指標については、目標設定や評価に関するプロセスの客観性・透明性を高めるべく、人事・報酬諮問委員会における厳格なレビューを実施します。

ROE連動部分80%:ESG経営指標連動部分20%と割合が明確にされており、T&A masterの記事によるとこのうちROE連動部分のみを損金算入したということのようです。

あくまで「損金算入した模様」とのことで確定情報ではありませんし、事後的に問題となることがないのかも定かではありませんが、構成割合を明示することで一部の損金算入が認められるということであればESG関連の指標に限らず、他の指標とするということも認められるということになりますので、とりあえず参考事例としておさえておくとよいと思います。

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