名義変更保険の節税が不可能になるようです
節税を目的とした納税者に有利と思える保険については、随分制限されてきた印象がありますが、今度は、法人契約の逓増定期保険を個人に名義変更した際の税務上の取扱いを見直すことが検討されているとのことです(T&A master No.878「”名義変更保険”使った節税封じ込めへ」)。
これは巷では「名義変更プラン」と呼ばれているもので、「当初法人が契約し、一定期間保険料を支払った後、解約返戻率が低い期間に、法人が払い込んだ保険料よりもはるかに定額で当該保険契約を法人の役員または使用人に名義変更(売却)するというもの」で、これにより、法人には譲渡損失が発生することになります。
このような保険を国税庁は問題視しており、「解約返戻金が法人税基本通達9-3-5の2(定期保険等の保険用に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い)に基づく資産計上額の『70%相当額未満』であれば、解約返戻金ではなく「資産計上額」で売却したことと取扱う方向で検討している」とのことです。
現状においては、所得税基本通達36-37(保険契約等に関する権利の評価)に基づき、「保険の買取金額=解約返戻金」となっており、この通達が見直されることになるようです。
ここで注意したいのは、上記の見直しが図られた場合に適用となるのはいつからかという点です。
この点については、「『2019年7月8日以降』に契約された名義変更プランを、新たな取扱いの施行日以降に名義変更した場合に適用されることが有力となっている」そうです。なお、施行日は今年6月になることが予想されるとのことです。
2019年7月8日は、全損保険の損金算入を制限する改正通達が施行された日で、上記のとおりに改正され施行された場合には、全損保険がだめになったので名義変更プランを選択したというような場合に想定とは異なった状況となると思いますので注意が必要です。