自宅兼事務所に必要経費、合理的であれば在宅勤務FAQの方法も可
税務通信3680号の税務の動向に”自宅兼事務所の必要経費 在宅勤務FAQの利用も一法”という記事が掲載されていました。
個人事業主が負担する自宅兼事務所の費用については、家事上と業務上の両方の費用であるため、すべてを必要経費とすることはできず、取引の記録等に基づいて業務の遂行上必要であったことが明らかに区分可能な部分(業務使用部分)を必要経費に算入することができるとされています。
所得税基本通達45-1では、「主たる部分等の判定等」として以下のように述べられています。
45-1 令第96条第1号《家事関連費》に規定する「主たる部分」又は同条第2号に規定する「業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分」は、業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、店舗併用の家屋その他の資産の利用状況等を総合勘案して判定する。
要は様々な要素を勘案して総合的に判断してくださいということで、具体的にどのように計算すればよいのかは示されていません。
一方、国税庁が公表している在宅勤務FAQでは、従業員が在宅勤務のために負担するインターネット通信費や電気料金等を企業が生産する場合に、給与として課税する必要がない業務使用部分を求める際に用いることができる「簡便的な計算方法」が示されています。
例えば、インターネット接続に係る通信料であれば、以下の算式が示されています。
業務のために使用した基本使用料や通信料等=従業員が負担した1か月の基本使用料や通信料等 × (その従業員の1か月の在宅勤務日数/該当付の日数) × 1/2
上記の式の最後の1/2は、1日24時間として、8時間は睡眠とすると残り16時間のうち8時間働くという仮定によっていると解説されています。
個人事業主の自宅兼事務所の必要経費の計算方法として在宅勤務FAQで示されている上記のような「簡便的な計算方法」が合理的な計算方法であるといえるのであれば、このような方法を用いて計算してもよいとのことです。
ポイントは、「合理的な計算方法であるといえる」のかですが、税務通信の記事では、「フリーランスとして特定の事務所で勤務していたイラストレーターが、新型コロナウイルス感染症拡大を樹に在宅勤務に切り替えた場合」が例として挙げられていました。
また、従来から、自宅の一部を事務所として使用していた場合であっても、”従来用いていた計算方法に代わり「簡便的な計算方法で業務使用部分を求めることが直ちに否定されるわけではなく、その個人事業主の業務内容等から在宅勤務日数や業務使用部屋の床面積で按分することが合理的であるといえればよいとのことだ」とされています。
とはいえ、自宅(事務所)にひいているインターネットの接続料なんかは、個人事業主の感覚としては必須のものであり、かつ、会社員のように何時間労働というようなものでもないので、日数云々ではなく、単に半分というような割り切りもあってもよいかもしれません。