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平均監査報酬は微増 監査実施状況調査(2020年度)

2021年12月10日に日本公認会計士協会から、監査実施状況調査(2020年度)が公表されていました。

連結ありの金商法監査の監査報酬の平均は5,271万7,000円で前年度の5,238万5,000円よりも33万2,000円増加となっています。ここ数年の調査結果の推移をみると同区分の監査報酬等の推移は以下のようになっています。

2017年度 49,259千円(1時間当たり11,852円)、平均監査時間4,156.3時間
2018年度 50,871千円(1時間当たり11,943円)、平均監査時間4.259.6時間
2019年度 52,385千円(1時間当たり11.929円)、平均監査時間4,391.3時間
2020年度 52,717千円(1時間当たり11,870円)、平均監査時間4,441.1時間

ここ数年の傾向としては、監査報酬は増加傾向にあるといえます。時間当たりの単価にするとあまり変動しておらず、平均監査時間が増加したことによって監査報酬が増額しているという構図のようです。

連結ありの金商法監査について、売上高の区分別にみた場合、当該調査において一番対象社数が多いのが売上高100億円以上500億円未満で、1,283社(37.2%)となっています。

この売上高区分の推移を確認してみると以下のようになっていました。

2017年度 29,821千円(1時間当たり10,743円)、平均監査時間2,775.9時間
2018年度 30,351千円(1時間当たり11,943円)、平均監査時間2.756.4時間
2019年度 31,581千円(1時間当たり10.974円)、平均監査時間2,877.7時間
2020年度 33,556千円(1時間当たり11,728円)、平均監査時間3,032.5時間

監査報酬が増加傾向にあるのは同様ですが、この区分では2017年度から2018年度にかけて平均監査時間が若干ではありますが、減少しているというのが興味深いところです。

とはいえ、総じてみれば監査時間の増加に伴い監査報酬が徐々に増加しているという傾向にあるといってよさそうです。

被監査監査会社の立場からすると、新基準対応等で監査時間が増加するという理解できる部分もあるものの、いまさらそれを聞いてくる?というようなことも少なからずあったりするので、監査報酬交渉にあたり監査時間が増えたといわれても素直に受け入れられない面も多々あるというのが率直な感想です。

特に監査法人もコロナ禍でリモートで作業を実施している割合も多くなっており、本当にそんなに時間がかかっているのだろうかという疑問が生じやすい状況になっているのではないかと思われます。

中堅以上の監査法人は法人のブランディングに力を入れているように思いますが、被監査会社の現場サイドからすると、一定レベル以上の監査法人であれば、どこであっても大差なく、現場にどんな会計士がやってきているのかのほうが重要だったりします。

監査のリモート化がすすんで、監査人と被監査会社間の担当者レベルでの関係が希薄化すると、個人的には、監査人を変更してみようかという発想が生じやすくなるような気がしていています。以前から同一監査人による監査期間の長期化は多少問題視されていましたので、もしかするとリモート化の副産物として監査人を変更するケースが若干増加するということがあるのかなという気がします。

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