会計監査人の異動は2年連続で200社超
経営財務3566号において、2022年7月15日に公表された2022年版「モニタリングレポート」が取り上げられていました。
同レポートによると、2021年7月からの1年間において合併を除いた会計監査人の異動は228社(前年比21社増)で、2年連続で200社超、過去5年で最多となったとのことです。
監査法人の規模別でみると大手が△140社、準大手+31社、中小+109社となっています。準大手を飛び越して大手→中小が100社を超えているというのが結構すごいことだと思います。なお、中小が過去5年間で初めて全体の20%を超えたとのことです。
異動理由については、「監査報酬」、「監査対応と監査報酬の相当性」の2つで全体の半数以上を占めているとのことで、監査人の異動に伴い監査報酬が減少した事例は前年より約6割増加し、異動前後の監査報酬が公表されている198社中123社で、特に大手から中小への異動では約8割で減少したとのことです。逆に言えば、大手から中小で残り2割は監査報酬が増加しているというのも興味深い点です。もっとも、不適切会計等の問題で大手が監査を降りたような場合は、その後の引受手が中小法人であっても工数の増大により監査報酬が上がるということは考えられます。
「監査報酬」や「監査対応と監査報酬の相当性」に関しては、被監査会社からすれば監査人が何をそんなにやっているの?というは思いを抱いていることが多いのでないかと思いますが、さらに最近ではリモート監査が増えていることもあり、監査工数が増加したという割に何をやっているのかはよくわからないというような不透明感が高まっているという面もあると思います。それをカバーしようと無駄にコミュニケーションを図ろうとしてきていると感じることもあったりします。
どこの監査法人がどうというよりも、その法人で誰がアサインされてくるのかのほうが影響は大きいような気はしますが、監査報酬の妥当性や監査対応の良しあしについては、被監査会社からすると監査法人を変えてみるということでしか本当の意味では判断できないという面はあるように思います。
以前は監査法人のローテーションなんて被監査会社側からすれば面倒なことが増えるだけだと思っていましたが、不満はありつつなんとなく継続していることもあると思いますので、強制的に監査人を変えなければならないというのも、よいきっかけになるのではないかと最近では思ったります。