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公認会計士等の異動に係る適時開示ガイドブックが改正

2019年1月22日に金融庁は「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」がとりまとめた報告書を公表しました。

この報告書では、「監査人の財務諸表利用者に対する説明責任が十分に果たされていなかったのではないか、との指摘がなされている。」として以下のような具体例が示されています。

  • 監査報告書の除外事項の記載において、具体的な影響額が示されず、また、示されないことについての合理的根拠が十分説明されていない
  • 意見不表明の場合に、その理由が十分説明されていない
  • 監査報告書の記載のみでは十分な情報が得られない場合があるが、株主総会の場を含め、監査人からの追加的な説明を受ける機会がない
  • 監査人の交代に関する開示書類において、実質的な交代理由が記載されていない
  • この報告書は、「特に、通常とは異なる監査意見等についての説明・情報提供の在り方に関し、会社法を含む関係法令や監査基準等を踏まえつつ、検討を行った」とされていることから、メインは無限定適正意見以外の意見が表明された場合の対応が中心となっていますが、「監査人の交代に関する説明・情報提供」についても述べられています。

    「監査人の交代に関する説明・情報提供」について、監査人の交代時には臨時報告書や適時開示で開示が求められるが、交代理由については、概ね半数以上において「任期満了」と記載されているところ、「監査人の任期が通常1 年で終了することからすれば、「任期満了」との記載は、交代理由の開示として不適切である。」と述べられています。

    そして東証は、この報告書の公表をうけて公認会計士等の異動に関する部分の「会社情報適時開示ガイドブック」の改訂を公表しました。

    具体的には以下の改訂が行われています。

    1.第2編第1章上場会社の決定事実 32. 公認会計士等の異動

    〔開示に関する注意事項〕⑤
    ⑤ 開示に際しては、異動を行うこととした実質的な理由(任期満了時に退任を決定する場合は、退任する公認会計士等を再任しない理由)やその経緯を開示資料に具体的に記載してください。特に、期中に解任する場合又は短期間で退任を決定する場合には、期中又は短期間であるにもかかわらず、なぜ解任又は退任を決定することとなったのかがわかるように記載してください。また、会計処理等に関する見解の相違が存在するといった事情がある場合には、その具体的な内容を含めて記載してください。

    従来は単に「⑤期中に異動する場合又は短期間で退任する場合には、異動の経緯を詳細に開示してください。」とのみ記載がされていました。「任期満了時に退任を決定する場合は、退任する公認会計士等を再任しない理由」を記載することが求められているので、今後は「任期満了による」というだけの記載では東証のOKはでないということになると考えられます。

    2.第2編第2章上場会社の発生事実 21. 公認会計士等の異動」

    〔開示に関する注意事項〕⑤
    ⑤ 開示にあたっては、異動が生ずる実質的な理由(任期満了時に退任する場合は、退任する公認会計士等が監査を継続しないこととした理由)やその経緯について、上場会社が把握している内容を開示資料に具体的に記載してください。特に、期中に退任する場合又は短期間で退任する場合には、期中又は短期間であるにもかかわらず、なぜ退任することとなったのかがわかるように記載してください。
    また、会計処理等に関する見解の相違が存在するといった事情がある場合には、その具体的な内容を含めて記載してください。

    こちらも従来は「⑤ 期中に異動した場合や、短期間で公認会計士等が交代することとなる場合には、異動の経緯を詳細に記載するようにしてください。」とのみ記載されていたことと比べると、より具体的な記載が求められることとなると考えられます。

    3月決算会社で監査人を交代する会社は数社はあると思われますので、どのような事例が出てくるのか注目です。

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