自社製品企業がを新型コロナ対応で無償提供した場合の税務上の取扱い
新型コロナウイルス感染症が拡大している中、ありがたいことに自社製品等を緊急支援として無償提供している企業も多く存在します。
このような企業の行為は個人的に歓迎ですが、一方でこれらの支援を行う企業側での税務上の取扱いはどうなるのかも気になります。これが寄附金といわれてしまうと、そのような取組を行おうとする企業の意欲が削がれてしまいますので、損金算入が認められるはずだと考えつつも、念の為確認してみたところ、2020年3月に国税庁が公表している「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」の「6 新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係」に「企業が生活困窮者等に自社製品等を提供した場合の取扱い」が掲げられており、以下のQ&Aが掲載されていました。
当社では、新型コロナウイルス感染症に関連して、今般の感染症の流行が終息するまでの間の緊急支援の取組みとして、自社製品(食料品)を学童保育施設、子供食堂、社会福祉施設、生活困窮者支援団体、フードバンク活動を行う団体などに対して無償で提供し、施設へ通う子供達や生活困窮者等への支援を行う予定です。
このような支援のために行った自社製品の提供に要する費用は、法人税の取扱上、寄附金以外の費用として、その提供時の損金の額に算入することができるでしょうか。
貴社が行う自社製品等の提供が、今般の新型コロナウイルス感染症に関する対応として、不特定又は多数の生活困窮者等を救援するために緊急、かつ、今般の感染症の流行が終息するまでの間に限って行われるものであれば、その提供に要する費用(配送に係る費用も含みます。)の額は、提供時の損金の額に算入して差し支えありません。
※ 自社製品等には、他から購入した物品やサービスの提供を業務とする法人が行う役務の提供も含みます。
上記のQ&Aは「生活困窮者」という表現が使用されていますが、「生活困窮者等」となっていますので、生活に困窮している方を支援する場合に限らず、在宅ワークを支援するような製品サービスの無償提供も、感染症の流行が終息するまでの間を想定して提供されるのであれば、その提供に要した費用もその提供時の損金の額に算入することができる
ということになるものと考えられます。
むしろそういう企業には一定の税額控除などを認めて、必要な支援が効率的に行われるように促進するというようなことがあってもよさそうなものですが、宣伝にもなりうるとも考えられるので、それはなかなか難しいということなのでしょう。