四半期報告書が廃止されても中間監査の復活はないようです
四半期報告書の廃止が実現に向けて動いていますが、四半期報告書がなくなると以前のように半期報告書が復活するのか、仮に2Qの報告書が残った場合、中間監査が必要とされるのかレビューが必要とされるのかが気になっていましたが、この点について、T&A master NO.931に記事が掲載されていました。
ディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)が示した原案によると、2Qの取り扱いについては今後の検討課題とされていましたが、上記の記事によれば、中間監査については「半期報告書の作成・監査に要する作業量は年度の有価証券報告書とほぼ同じであり、企業にとって負担が大きいため、復活はまずないことが本誌取材で確認されている」とのことです。
2Q報告書及びレビューについては、維持される可能性あるとされていますが、DWGで2Qの取り扱いは今後の検討課題とされていることから、こちらについては現時点でなんとも言えないといったところだと思います。
なお、2Qは従来通り報告書+レビューで残った場合、1Q・3Qについては四半期決算短信+臨時報告書で四半期決算短信を公表したことを開示されるという案が浮上しているとされています。これは、臨時報告書を提出させることにより、金商法上の罰則等の対象とすることができるようにするためということのようです。そういった意味では、2Qの報告書も廃止され、1Q~3Qは臨時報告書の提出のみという可能性もあり得るということになります。
現時点においては、2Q+レビューが残るという見方が多数派なのかなという気がします。とはいえ、なぜといわれれば四半期の前には中間報告書があったからというだけなので、そもそも投資家がレビュー報告書にどれだけの期待を抱いているのかによるのではないかと思います。
なお、最終決着はどこで着くのかですが、上記の記事によれば、来年の通常国会での金商法改正を経て2024年3月期から適用となる可能性が高いとのことです。
四半期開示の廃止のほかでは、男女の賃金格差の開示、男性育休取得率、女性の管理職比率の開示義務化が明記された一方、英文開示は推奨にとどまり義務化は見送られたとのことです。
開示実務担当者からすると、気になるTCFD開示ですが、こちらはすべての企業が開示することが望ましいとされる「ガバナンス」と「リスク管理」の開示が義務化され、「戦略」「指標と目法」については各社の判断にゆだねられることとなるようです。
なお、非財務情報関連の開示については2023年3月期から適用される可能性が高いとのことです。