平成27年度税制改正(その3)ー法人税関連
“平成27年度税制改正(その2)ー法人税関連“の続きで、平成27年度税制改正の法人税関連の内容を確認していきます。
10.長期所有建物等の買換えに係る特例の見直し
長期保有土地等を譲渡し、一定期間内に一定資産を取得して事業の用に供した場合、譲渡利益額の80%相当額を買換え資産の帳簿価額から減額し、当該金額を損金算入することが認められています(措法65の7①)。
従来、長期保有土地等の譲渡に対する買換資産は、「国内にある土地等、建物、構築物若しくは機械及び装置又は国内にある鉄道事業の用に供される特定の車両及び運搬具」とされていましたが、平成27年度税制改正によって、買換資産から機械装置とコンテナ用の貨車が除外されています。
また、地域再生法の集中地域意外の地域から集中地域(東京23区等)への買換えについては、課税の繰延割合が80%から70%ないし75%に引き下げられています。
11.外国子会社配当金不算入制度の見直し
内国法人が外国子会社(持株割合25%以上の株式等を配当等の支払義務が確定する以前6カ月以上引き続き保有している外国法人)から受け取る配当等の額については、原則としてその95%が益金不算入となります(法法23の2①)。
しかしながら、その配当等の額の全部又は一部が当該外国子会社の本店所在地国の法令において当該外国子会社の所得の計算上損金の額に算入される場合には、当該配当等の金額は95%益金不算入の対象とはならないこととされました。
これは、国際的二重非課税を排除することによるものです。
この制度は、原則として平成28年4月1日以後開始する事業年度において内国法人が外国子会社から受け取る配当等の額に適用されますが、平成28年4月1日において有する当該外国子会社の株式等に係る配当等については、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において内国法人が受け取る配当等については、従来の取り扱い(95%益金不算入)が適用されることとされています。
12.外国子会社合算税制の見直し
まず、いわゆるトリガー税率が従来の20%以下から20%未満に変更されました。微妙な変更ではありますが、イギリスの法人税率が20%に引き下げられることへの対応のようです。
次に、統括会社に係る事業基準の特例について見直しが行われています。
トリガー税率を下回る国に所在する統括会社については、主たる事業が株式の保有であっても、その統括会社及び被統括会社が一定の要件を満たせば事業基準を満たすとされています。
従来、被統括会社が満たすべき要件の一つに日本親会社と統括会社が50%超支配する外国法人であることがありました。つまり、統括法人の傘下に内国法人がぶら下がっていてはなりませんでした。
平成27年度税制改正によって、この要件が改正され、被統括会社に内国法人が含まれることになりました。これを反映して、統括会社の要件も従来の2以上の被統括会社を統括していることから、2以上の外国法人である被統括会社を含む複数の被統括会社を統括していること等の見直しが行われています。
これらの改正は平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
その他
平成28年4月以降の帰属主義への変更に向けた改正や投資法人税制の見直しなども行われていますが、詳細は割愛します。
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