償却資産税(その2)
前回の続きで償却資産税について確認していきます。
4.申告方法
償却資産税は賦課課税方式が採用されているという点は前回述べたとおりですが、償却資産の所有者等は、その年の1月1日現在において所有する償却資産について、その所在、種類、数量、取得時期、取得価額、耐用年数、その他の必要事項を記載した申告書をその年の1月31日までに償却資産の所在地の市町村に提出するものとされています。
そして、償却資産税の申告法法には一般方式と電算処理方式のという二つの方法があります。
(1)一般方式
前年中に増加又は減少した償却資産について申告する方法で、償却資産の評価額等の計算は各市町村が行います。
東京都の場合は以下のような申告書のフォームとなります。なお、(2)の電算処理方式の場合も基本的なフォームは同じですが、一番下の網掛けされている「評価額」欄等が網掛けされていないという違いがあります。
(2)電算処理方式
その年の1月1日現在所有しているすべての償却資産について、事業者側で償却資産の評価額等を計算して申告する方式です。
実務上は一般方式を採用していることが多いと思います。なお、一般方式を採用する場合、前年中に資産の増減がない場合であっても原則として申告書を提出する必要がある点には注意が必要です。
5.課税標準及び税率
償却資産の課税標準は、1月1日現在の償却資産の評価額に基づき決定された価格で、償却資産課税台帳に登録されたものとなります。
償却資産税の税率は1.4%で、税額は以下のように計算されます。
課税標準(1000円未満切捨)×1.4%=税額(100円未満切捨)
なお、償却資産の評価額については、当該償却資産の耐用年数に基づいて減価償却を勘案した金額となりますが、法人税法における考え方とは異なる部分があります。
(1)前年中に取得した償却資産の評価
前年中に取得した償却資産の減価償却については、法人税のように月割りで計算はせずに、単純に半年分の減価があったものとして取り扱われます。
(2)前年前に取得した償却資産の評価
この場合、前年度の評価額から当該償却資産の評価額に当該償却資産の「耐用年数に応ずる減価率表」に掲げる耐用年数に応ずる減価率を乗じて得た額を控除して評価額を算出するものとされていますが、評価額が取得価額の5%を下回る場合、取得価額の5%が評価額とされます。
(3)圧縮記帳時の取得原価
法人税法上は国庫補助金等による直接減額方式による圧縮記帳制度が認められていますが、償却資産税上は、認められていないので、国庫補助金等による圧縮額がある場合には、その金額を加えた額を取得原価とする必要があります。
6.納税および免税点
償却資産税の納付時期は、東京都の場合は6月上旬に納税通知書が発送され、基本的に6月、9月、12月、翌年2月の4回で納付することとなります。
なお、償却資産税の納付時期については、上記の通り東京の場合は納税通知書の発送が6月上旬となっていますが、東京以外の地域では4月上旬に納税通知書が発送され、4月、7月、12月、翌年2月の4回で納付を行うことが多いようです。
償却資産税の免税点は150万円となっています。つまり、一の市町村内に所有する償却資産の課税標準額の合計額が150万円未満の場合には、償却資産税は課税されないとされています。
東京23区や指定都市の区の区域については、免税点を判断する際に一の市とみなす必要があるため、これらの区域ごとに償却資産の課税標準の合計額が150万円未満であるかどうかを判断する必要があるという点に注意が必要です。
今回はここまでとします。