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個人に支払う講演料に仮払消費税をとれるか?

今回は自社セミナーなどで講演をしてもらった場合の謝礼の消費税についてです。

講演をしてもらった方がプロのセミナー講師であったり、プロではなくても講演者の方が所属する会社に支払うということであれば、特に考えることなく課税取引として仮払消費税を計上するのではないかと思います。

一方で、プロではない講演者の方に直接講演料(謝礼)支払う場合には、課税取引として仕入税額控除をとってよいのかで迷うかもしれません。
これは、消費税の課税対象取引が「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と外国貨物の輸入」とされていることと、消費税は消費者から預かった税金を売主が納税するものという説明がよくなされることから、売主と買主側の消費税の処理は表裏一体でなければならないと考えてしまうためだと思います。

なお、「事業者」とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいい、「事業」とは、同種の行為を反復、継続、独立して行うことをいうとされています。
このため、会社に勤めている給与所得者が、たまたまセミナーの講師を勤めて謝礼を受領したとしても、「事業として」行っているわけではないので消費税の課税取引ではないと考えられます。
一方で、給与所得者が副業として店舗の貸付けを行っているような場合には、対価を得て行われる資産の貸付けが反復、継続かつ独立して行われているので、「事業」として消費税の課税取引となります。

ここで注意すべきなのは、消費税が「課税取引」かどうかは、消費税分を実際に預かっていようがいまいが、売主が消費税を納税する必要があるかどうかを意味するもので、買主(仕入側)の納税義務を意味するものではない点です。

例えば、あるスーパーで本来消費税込みで105円で販売すべきものを、消費税を忘れて100円で販売してしまった場合、消費税分は預かっていないので消費税は納税しませんというのは許されません。この場合は、100円で販売した取引が消費税の課税取引として取り扱われるので、消費税4円を売主は納税する必要があるわけです。

また、上記の例とは逆に、免税事業者である売主が消費税額を請求し、買主が請求通りに支払いをしている場合には、買主は消費税と思って支払っていても、売主側では実際には売上高を構成しているということもあります。

つまり、消費税の処理については、売主と買主で必ずしも表裏一体の処理になるとは限らないということです。このため、仕入税額控除をとれるかどうかを考える場合には、それが「課税取引」か否かを考えるのではなく、その取引が「課税仕入れ」に該当するのか否かを考える必要があります。

課税仕入れとは、事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることをいうとされています(消費税法2条1項12号)。そして、「他の者」には、課税事業者及び免税事業者のほか消費者が含まれます(消費税法基本通達11-1-3)。

したがって、結論としては講演を依頼した方が事業者に該当しない個人であったとしても、その講演が事業に必要なものであるのであれば、支払った側では課税仕入れとして仕入税額控除をとれることになります。

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