平成27年度第1四半期報告書の留意点
今回は平成27年度の第1四半期報告書の変更事項等について確認します。第1四半期からの変更点としては、企業結合会計基準等の原則適用に伴う科目名の変更が主なものとなっています。
1.表示科目名の変更
企業結合会計基準等が平成27年4月1日以後開始事業年度から原則適用となることに伴い連結財務諸表上の表示科目名が変更されます。
<連結BS>
「少数株主持分」(変更前) → 「非支配株主持分」(変更後)
連結BSにおける表示箇所は従来と変更なし。
<連結PL>
「少数株主損益」(変更前) → 「非支配株主に帰属する当期純利益」(変更後)
「少数株主損益調整前当期純利益」(変更前) → 「当期純利益」(変更後)
「当期純利益」(変更前) → 「親会社株主に帰属する当期純利益」(変更後)
<連結CI>
「少数株主に係る包括利益」(変更前) → 「非支配株主に係る包括利益」(変更後)
2.1株あたり当期純利益の計算は?
ややこしいのは、上記のとおり第1四半期から従来の「当期純利益」(親会社持分相当)と変更後の「当期純利益」(親会社持分相当+非支配株主持分相当)は意味するものが異なることとなります。
しかしながら、1株当たり情報として注記される「1株当たり当期純利益金額」については名称の変更は行われていません。では、計算はどうなるのかですが、これは従前通りとなります。つまり、変更後の名称でいうと「親会社株主に帰属する当期純利益」に基づいて計算することとなります。
これは、一株当たり当期利益に関する会計基準において、「損益計算書上の当期純利益、当期純損失は、連結財務諸表においては、それぞれ親会社株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当基純損失とする。」とされているためです。
注記上の「1株当たり当期純利益金額」に変更はありませんが、1株当たり当期純利益金額の算定上の基礎については、「親会社株主に帰属する当期純利益」等、改正後の名称が用いられるように改正されていますので注意が必要です。
3.変更の取り扱い等
企業結合会計基準等の適用に伴い、上記のような表示方法の変更、子会社株式の追加取得等の会計処理の変更、取得関連費用の取扱いの変更、暫定的な会計処理の確定の取扱いの変更が生じる可能性がありますが、連結会計基準第44-5項(5)において、適用初年度においては会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うとされていますでの、すべて会計方針の変更として取り扱われることになるようです。
第1四半期では単に表示科目を変更するだけである場合も、連結会計基準第44-5項(5)からすると会計方針の変更として取り扱うこととなります。
4.前期に生じた暫定的な会計処理の確定した場合の取扱い
企業結合時に暫定的な会計処理を行った場合には1年以内に処理を確定させなければなりませんが、従来は、処理が確定した時点で、会計処理確定による影響額は特別損益として計上されていましたが、平成27年4月1日以後に実施された企業結合について暫定的な会計処理を行い、その後処理が確定した場合、企業結合日に属する四半期会計期間に遡って当該確定が行われたかのように会計処理を行うこととされています。
ただし、これはあくまで平成27年4月1日以後の企業結合から対象となるため、平成27年3月31日以前に生じた企業結合に関する暫定的な会計処理が、今期確定したという場合は対象外で従来通りの処理が必要となります。
5.米国子会社がのれんの会計処理を変更した場合
米国会計基準が改正され、非公開会社はのれんを償却することを選択することが認められることとなりました。これを受けて、「連結財務諸表作成にける在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」が改正され、在外子会社が焼却処理を選択した場合には以下のいずれかの方法を適用するとされています。
- 連結財務諸表におけるのれんの残存償却期間に基づき償却する。
- 在外子会社が採用する償却期間が連結財務諸表におけるのれんの残存償却期間を下回る場合に、当該償却期間に変更する。この場合、変更後の償却期間に基づき将来にわたり償却する。
該当事項がある場合には、「会計基準等の改正に伴う会計方針の変更」として注記が必要となります。
6.異動役員の男女別人数
前回の3月期から役員の男女別人数及び女性の比率を有価証券報告書に記載することが必要となりましたが、それに伴い、四半期報告書でも役員の異動があった場合には、異動後の役員の男女別人数及び女性の比率を記載することが必要とされています。
上記のほか、連結株主資本等変動計算書や連結キャッシュ・フロー計算書でも改正が行われていますが、第1四半期では基本的に使わないと思いますので第2四半期以降で確認することとします。
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