2021年4月1日から総額表示への切替えはそれほど厳格に求められないらしい
2021年3月末をもって消費税転嫁対策特別措置法に基づく「総額表示義務の特例」が期限切れとなり、2021年4月1日からは従来「総額表示義務の特例」で対応していた事業者にも消費税の総額表示義務(消費税法63条)に対応する必要が生じます。
この取扱い自体は、昨年9月に”総額表示義務特例が今年度末で期限切れ”で取上げたT&A masterの記事で「政府は適用期限を延長をしない方向で検討している」とされていたとおりであり、予定通りといえますが、当時は緊急事態宣言の再発令はないだろうという見方が大勢でした。一方で、実際は再度緊急事態宣言が発令され、感染者数の状況によって期間が延長されることが予想されています。
あまり考えたくはありませんが、場合によっては3月末まで一部の地域では緊急事態宣言が解除されないという可能性もないとはいえません。
このような状況下で、経過措置や猶予措置なしで4月1日から消費税の総額表示義務に対応しなければならないというのは、特に中堅以下の小売業においては酷ともいえます。
しかしながら、T&A master No.866に掲載されていた「コロナ禍における消費税の総額表示対応」によると、同誌が取材したところによると、「執行上は令和3年4月1日を境とした厳格な切りかえまでは求められない模様だ。元々、総額表示義務には消費税法上の罰則義務もない上、コロナ禍、しかも緊急事態宣言が発せられている状況の中、値札の貼り替え等の作業を強いるのは酷だろう」とされ、「徐々に総額表示に切替えていくような対応も事実上許容されることになろう」とのことです。
消費税法上は2021年4月1日から総額表示義務の適用をうけることとなるわけですので、気長に対応して良いというわけではありませんが、コロナ禍で3月末頃に人海戦術で値札の貼り替え等を考えている場合には、検討の余地はあるようです。